目次

  1. 本の紹介者
  2. 悪書の思想に染まることなく俯瞰できる1冊
  3. 「悪書」にも垣間見える世代交代の振る舞い

稲垣雅大さん

有限会社稲垣自動車3代目。稲垣自動車1969年設立。現在は"GEAR VEHICLE"というブランドでアウトドアに特化したカスタムカーを制作・販売している。東京オートサロンや大阪オートメッセなどのカーショウに出展。

 元外交官である佐藤優氏が、ヒトラーや金正恩などの独裁者の自伝や革マル派リーダーの獄中記など20冊の悪書を紹介するといった構成となっていて少し怖い本です。

 現在30歳の私は革命などと言われてもピンと来ませんし、暴力なんて大反対です。

 ですが生理的に受け付けない思想だとしても、その思想に至るまでの苦悩と葛藤の中に人間の原理原則を見ることが出来ると思います。

 佐藤優氏が悪書との間に入ることでその思想に染まる事なく、俯瞰してその思想を感じとる事ができる構成となっているので非常に読みやすい本でした。

 本書では、世代交代における後継者の振る舞いや葛藤なども垣間見ることができます。

 たとえば、第一章「独裁者の哲学~彼らはいかにして人を操ったのか~」のなかで、ソビエト連邦で独裁的な権力を握ったスターリンは、ソビエト連邦建国の父といわれるレーニンの後継者として振る舞い、体系化した思想を「マルクス・レーニン主義」と呼んで、レーニン崇拝を推進しつつ、次第に自身への個人崇拝を強めていきます。

 佐藤氏は、本書のなかで、現代でビジネス書を読む習慣はあっても、古典を読む習慣は薄れてきていると指摘しています。本書に紹介されている本すべてに目を通すのは難しいですが、よりたくさんの本を読んで他者の思考に触れたいと思うようになりました。