目次

  1. 日本は世界有数の老舗大国 4万社超
  2. 帝国データバンクの老舗倒産の分析 最多は製造業
  3. 2024年の老舗倒産事例
    1. 業歴160年の食品スーパー「三谷屋」(広島県)
    2. 野球の「TAMAZAWA」で知られるスポーツ玉澤(東京都)
    3. 銘菓「葵千人」で知られる青木万年堂(東京都)

 世界で創業・設立から100年以上経過した企業の数は2022年時点で約7万5000社とも言われています。そのなかで日本は創業・設立から100年を超えている企業が4万社超に上り、世界のなかでも有数の老舗大国であると言えます。

 これまで戦火や大災害でも事業を続けてきた老舗の倒産が増えているという分析結果を、帝国データバンクが明らかにしました。

老舗企業の倒産と社数の推移
老舗企業の倒産と社数の推移

 2024年上半期に倒産した老舗企業は74件で、前年同期の38件から倍増しました。業種別にみると、製造業が22件で最多。このなかには、清酒製造や生菓子製造、水産加工、味噌、野菜漬物などの業態も含まれています。

2024年上半期の老舗倒産の業種別内訳
2024年上半期の老舗倒産の業種別内訳

 次いで多かったのが、小売業の21件。小売業には、スーパーマーケット、呉服・服地小売、百貨店などが含まれています。

 長い業歴は信用を測るうえで大きな裏付けとなる一方、コンプライアンス違反や仕入価格の上昇により収益が悪化した「物価高倒産」、後継者不在のため事業継続の見込みが立たなくなった「後継者難倒産」など、近年事業継続のリスクにあげられる要因による倒産が確認されているといいます。

 2024年上半期の主な老舗倒産事例として帝国データバンクは3つの事例を挙げています。

 三谷屋は1858年創業の食品スーパーで、地元密着型のスーパーマーケットとして親しまれていましたが、人口減少やドラッグストアなどとの競合激化により4期連続赤字に陥っていたといいます。そんななか、物価高騰による仕入れコストや、光熱費の上昇によって資金繰りがひっ迫し。2024年2月6日に事業停止、その後6月5日に破産開始決定となりました。

 「TAMAZAWA」「玉澤」ブランドは野球関係者の間でも広く知られ、完全国産オーダーメイドのグローブは人気が根強い1910年創業のスポーツ玉澤。少子化などによる野球人口の減少、国内・海外ブランドの新規参入などで、事業は縮小傾向にあったといいます。こうしたなか、2023年6月に当時の代表が死去したことも重なり、2月7日に破産開始決定となりました。

 東京都八王子で愛された老舗和菓子店。1818年(文政元年)に創業した旧・青木万年堂は2003年6月に破産しましたが、惜しむ声を受けて新会社が事業を引き継ぎました。しかし、コロナ禍の影響は大きく、2023年秋には各店舗を閉鎖し、3月28日に破産開始決定となりました。