目次

  1. 全国女性社長の調査概要
  2. 女性社長のほぼ半数が「サービス業他」
  3. 女性社長が増えた要因と今後の課題

 この調査は、東京商工リサーチが持つ個人企業を含む約425万社の経営者情報から、女性社長を抽出し、分析しました。調査は2010年から始まり、今回が13回目です。

 調査によると、2024年の全国の女性社長の数は64万9262人と前年比6.0%増となり、全国の社長の15.24%を占めています。女性社長を調査開始した2010年の21万2153人から14年間で3倍に増えました。

 都道府県別の女性社長の比率は、最高が沖縄県の20.62%でした。山梨県17.36%、東京都17.21%、茨城県16.99%、大阪府16.82%と続きます。一方、低いのは新潟県9.69%、山形県9.78%の順で、この2県は10%に届きませんでした。

 女性社長が最も多い産業は、「サービス業他」の32万913人(構成比49.4%)で、全体のほぼ半数を占めました。喫茶店や食堂など開業の敷居が低い飲食業のほか、美容業やエステティック業など女性が活躍しやすい業種が目立っています。

 次いで、不動産業9万7,269人(同14.9%)、小売業6万6,223人(同10.2%)が続き、上位3産業が10%を超えました。

 産業別の女性社長の比率では、不動産業が25.06%で最も高く、次いで、サービス業他19.04%、小売業15.68%、情報通信業13.47%の順で続きました。

 一方、建設業は5.45%で最も低く、農・林・漁・鉱業8.16%、運輸業9.37%の3産業が10%を割り込みました。一般的に男性労働者が従事するイメージの強い産業では、経営者の女性進出も低調な傾向が続いています。

 女性社長が増えている要因として、東京商工リサーチは国や自治体の創業支援や事業承継支援、企業の女性活躍推進の取り組みが進んでいることが、女性社長数の増加に寄与していると分析しており「女性目線での商品開発などでマーケットの活性化が期待される。さらに、深刻さを増す後継者問題でも女性の進出が増え、事業承継の担い手としての重要性が増している」とコメントしています。

 しかし、男女の役割分担への先入観は依然として根強く存在しており、仕事と家事、育児、介護を両立するためには男性の協力が不可欠で、創業や事業承継支援だけでなく、介護や育児、少子化対策などを含む包括的な政策と支援が求められているとしています。