本質を見抜く力とは 物事の本質を見抜ける人の特徴とスキルを高める方法

物事の本質を見抜く力、これはビジネスの世界ではいち早く重要なポイントを探り、根本的な問題解決を促し、先を読んで先手を打つために必要なものです。この記事では、人材育成の専門家が本質を見抜く力の意味と必要性、さらにはその鍛え方についてご紹介します。
物事の本質を見抜く力、これはビジネスの世界ではいち早く重要なポイントを探り、根本的な問題解決を促し、先を読んで先手を打つために必要なものです。この記事では、人材育成の専門家が本質を見抜く力の意味と必要性、さらにはその鍛え方についてご紹介します。
本質を見抜く力とは、目に見えている「表面的」な部分だけで判断するのではなく、見えていない部分の「本質的」なところまで考えて判断をする力のことです。
マーケティング業界でよく使われている言葉に「ドリルを売るには穴を売れ」というものがあります。お客様がドリルを買いに来たときにドリルだけ売るのは「表面的」な判断です。
しかしお客様が本当に欲しいものは「穴」であり、なぜ「穴」が必要なのかまでを見抜くこと、それが「本質を見抜く力」なのです。
本質とは、最も大事な根本の性質や要素のことであり、欠かすことのできない要素をいいます。例えば、問題が発生した場合はその根本的な原因、マーケティングであればお客様が本当に求めている価値を指します。
注意すべき点として、「本質」と「特徴」を混同してしまう点です。「特徴」とは他と比べて目立ったりする点であり、それが無くてもそのものが成り立つのであれば「本質」とはいえません。
本質を見抜く力=洞察力であり、洞察力が本質を見抜く力ともいわれています。もう少し掘り下げてみましょう。
洞察力とは「目に見えていない部分を見抜く力」のことです。それに対して「表面的な部分を見る力」は観察力といいます。
洞察力は物事を観察力を持ってよく見て、そこから目に見えないところを推測し、その裏にあるものを見抜きます。そのため、本質を見抜くためには、その前提となる表面的な部分をしっかりと見る観察力も必要となります。
本質を見抜く力がある人には、次のような特徴が見られます。
本質を見抜く力がある人の特徴 |
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・周りをよく見ている ・多角的な視点を持っている ・論理的思考で筋道を立てて考えられる ・情報の取捨選択ができる ・好奇心や探究心が旺盛 |
本質を見抜く力がある人は、周りをよく見ています。これは、観察力が優れているともいえます。例えば、周りや人の変化に気づくことが多い、ほかとの違いに気づく、などです。ただ見ているだけでなく、違いによく気づくところが大きな特徴です。
本質を見抜く力がある人は、一つの方向だけでなく、他の視点からもものごとを捉えることができています。これは可能性をいくつも考えることができる、という言い方もできます。また、固定観念や一般常識にとらわれず、豊かな発想を持っているのも特徴です。
多角的な視点については、下記記事でも詳しく解説しています。
物事を考えるときに、感情的にならず冷静に「なぜそうなったのか?」という因果関係を論理的に考えられる人は、本質を見抜くことができます。また、論理的に考えていくことで、ものごとをシンプルに捉え、本質までたどり着けます。
論理的思考については、下記記事でも詳しく解説しています。
たくさんある情報から本当に必要とするものを選び、不要な情報を捨てる判断ができる人は、本質を見抜ける人です。本当に必要となる情報だけを選別して組み合わせていくことで、本質に迫っていけます。
本質を見抜くためには「なぜそうなのか?」という探究心が必要となります。もっと深く掘り下げて考えてみたい、その奥には何があるのか?こういった考えを持っている人は、本質を見抜くことができます。
ビジネスにおいて本質を見抜く力は、非常に重要なスキルとなります。その理由は、以下のとおりです。
ビジネスにおいて本質を見抜く力が重要な理由 |
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・問題の根本解決ができる ・顧客に対して新しい価値を創造できる ・良好なコミュニケーションが図れる ・競争優位性の高い戦略を立てられる ・ビジネス上のリスクを回避できる |
問題を解決するには、その根本となる真の原因を探る必要があります。真の原因に対して対策ができれば、派生した他の問題も一緒に解決することが可能になるのです。
トヨタでは「なぜを5回繰り返す」ということを提唱されています。すぐに思いつく答えを安易な結論とせず、本質を見抜く力が必要とされています。
顧客が求めているものは何なのか、その本質を見抜くことができれば、既存の商品やサービスにはない、新しい価値を見出せます。
Apple社では、単にスマートフォンなどのデジタル機器を売り出すのではなく、なぜスマートフォンを使うのかという顧客の本質的な欲求を追求しました。その結果、音楽やビデオをダウンロードして販売するiTuneというサービスを作り出したのです。
相手の本心を探るには、言葉そのものからの情報だけでなく、表情や仕草などを観察し、そこから相手の感情や気持ちという本質を見抜く力が必要とされます。
これが共感力となり、相手の本心を先取りした行動を起こすことができ、良好なコミュニケーションを図ることにつながるのです。
本質を見抜くことにより、世の中の動向や顧客の欲求を先取りして、他者よりも早く市場に新しい商品やサービスを提供できるようになります。
これが競争優位性の高い戦略を立てることとなり、他社の追従を許さない地位を獲得することにもつながるのです。
いくら競争優位性の高い戦略を立てても、リスクが大きければその行動を起こすことはなかなか難しいものです。そのために、どのようなリスクが生じるのかという本質を見抜き、あらかじめそれらを回避できるような策を講じることも必要となります。
では、どのようにすれば本質を見抜く力を鍛えることができるでしょうか。ここではその方法を5つご紹介します。
本質を見抜くためには、ものごとを見るときに一つの視点からだけではなく、さまざま角度から見る必要があります。そのために、問題解決などのときに一つの仮説だけでなくいろいろな仮説を立てて検証をしてみましょう。
これについては、一人で考えるよりも複数人でやることをおすすめします。それにより、さまざまな視点から本質を見抜けるようになるでしょう。
本質を見抜くためには、たくさんの情報から取捨選択する必要があります。まずは、インプットする情報量を増やしましょう。
これも一つの情報源ではなく、いろいろなところから得ることが大事です。その中から「これが事実だ」というものを見抜くようトレーニングしましょう。
世の中の何が変化をしたのか、また目の前の相手の何が変わったのか、こういったことをよく観察し、気づくように心がけてみましょう。この変化から、本質を見抜いていくことも可能になります。
また、こういったことに気づいたらすかさずメモをしておき、あとからじっくり「変化の本質は何か?」を考えてみるのもよいでしょう。
疑問が湧いたら、5W1Hの質問に代表される質問をどんどん投げかけてみましょう。その中でも特に「Why」=「なぜ」の質問はとても大事になります。
なぜそれをやる必要があるのか、なぜそうでなければならないのか、これらを常に意識することで、本質を意識していくことが可能になります。
既存のフレームワークを活用して、本質を見抜く訓練をするのもよいでしょう。特に活用できるのがロジックツリーです。
一番上に事象(起きたこと、今の状況)を書いて、それが「なぜそうなったのか?」を繰り返して考えていくことで、さまざまな要因を見出せるようになります。
そのなかから、特に「本質となるもの」を選んでいくことで、物事の本質を見抜けるようになっていきます。
ビジネスにおいて、本質を見抜く力がどれだけ重要であるかはおわかりいただけたかと思います。時代は目まぐるしく変化しており、それにともない多くの情報が飛び交うようになっています。
こういった状況の中から、本質を見抜くことがこれからの人財としての要因であることは間違いありません。そのためにも、人を育てるための一つとして、本質を見抜くトレーニングや研修を積極的に行うことが必要となります。
本質を見抜く力を備えた人が、この先のビジネスを支える人となるのです。
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