目次

  1. 事業承継・引継ぎ補助金とは
  2. 事業承継・引継ぎ補助金の支援枠の概要
    1. 事業承継促進枠
    2. 専門家活用枠
    3. PMI推進枠
    4. 廃業・再チャレンジ枠
  3. 収益納付は求められる可能性

 中小企業庁によると、事業承継・引継ぎ補助金とは、中小企業者と個人事業主が事業承継、事業再編・事業統合を契機に、新たな取り組みをする事業について、その経費の一部を補助することで、事業承継、事業再編及び事業統合を促進することを目的とする補助金です。

 2024年度補正予算に計上された事業承継・引継ぎ補助金には、4つの支援枠が設けられる予定です。

  1. 事業承継促進枠
  2. 専門家活用枠
  3. PMI推進枠
  4. 廃業・再チャレンジ枠

 事業承継促進枠とは、5年以内に親族内承継又は従業員承継を予定している者を対象に、5年以内に事業承継を予定している場合の設備投資等に関する費用を補助する支援枠です。

 補助上限は、800万~1000万円で、一定の賃上げを実施する場合、補助上限を1000万円に引き上げます。

 中小企業の補助率は1/2ですが、小規模事業者に該当する場合は2/3に引き上げます。

 設備費、産業財産権等関連経費、謝金、旅費、外注費、委託費などが補助対象となります。

 専門家活用枠とは、補助事業期間に経営資源を譲り渡す、または譲り受ける者を対象に、M&A時の専門家活用に関する費用(フィナンシャル・アドバイザー:FAや仲介に係る費用、表明保証保険料等)を補助する支援枠です。

 ただし、FA・仲介費用は「M&A支援機関登録制度」に登録されたFA・仲介業者による支援に係る費用のみ補助対象です。

 買い手支援類型の補助上限は、800万円を上限に、デューデリジェンス費用の申請する場合に600万~800万円、100億企業要件を満たす場合は2000万円となります。

 買い手支援類型の補助率は、2/3ですが、100億企業要件を満たす場合、1000万円以下の部分は1/2、1000万円超の部分は1/3となります。

 売り手支援類型の補助上限は、800万円を上限にデューデリジェンス費用の申請する場合に600万~800万円となります。

 売り手支援類型の補助率は1/2で、①赤字、②営業利益率の低下(物価高影響等)のいずれかに該当する場合は2/3となります。

 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料、保険料が補助対象経費となります。

 PMI推進枠とは、M&Aに伴い経営資源を譲り受ける予定の中小企業等の経営統合(PMI)の取り組みを行う者を対象に、M&A後のPMIにかかる費用(専門家費用、設備投資等)を補助する支援枠です。

 PMI専門家活用類型の補助上限は150万円で、補助率は1/2です。

 事業統合投資類型の補助上限は800万~1000万円となります。一定の賃上げを実施する場合、補助上限を1000万円に引き上げます。補助率は中小企業向けの補助率は1/2ですが、小規模事業者に該当する場合は2/3に引き上げられます。

 設備費、外注費、委託費等が補助対象経費となります。

 廃業・再チャレンジ枠とは、事業承継やM&Aの検討・実施等に伴って廃業等を行う者を対象に、事業承継・M&Aに伴う廃業等に係る費用(原状回復費・在庫処分費等)を補助する支援枠です。廃業・再チャレンジ枠は、事業承継促進枠や専門家活用枠、PMI推進枠の事業統合投資類型と併用できます。

 補助上限は、150万円ですが、事業承継促進枠、専門家活用枠、事業統合投資類型と併用申請する場合は、それぞれの補助上限に加算される額です。

 補助率は1/2または2/3で、事業承継促進枠、専門家活用枠、事業統合投資類型と併用申請する場合は、各事業における事業費の補助率に従います。

 補助対象経費となるのは、廃業支援費、在庫廃棄費、解体費、原状回復費、リースの解約費、移転・移設費用(併用申請の場合のみ)となります。

 2024年度補正予算に計上されたものづくり補助金は、収益納付を求めない方針が明記されました。

 一方で、中小企業基盤整備機構が公表した「事業承継・M&A事業に係る事務局の公募要領」には「事業化状況報告、収益納付、財産処分、交付決定取消、各種分析報告等は、間接補助事業の終了後5年間(詳細は各枠によって異なる)実施することを前提に提案いただきます」と書かれています。