目次

  1. IT導入補助金とは
  2. IT導入補助金の支援枠の概要
    1. 通常枠
    2. 複数社連携IT導入枠
    3. インボイス枠(インボイス対応類型)
    4. インボイス枠(電子取引類型)
    5. セキュリティ対策推進枠
  3. IT導入補助金の不正受給に注意

 IT導入補助金とは、中小企業等の労働生産性の向上を目的として、業務効率化やDXの推進、サイバーセキュリティ対策、インボイス制度への対応等に向けたITツールの導入を支援するための補助金です。

 政府の2024年度補正予算に、IT導入補助金も含む中小企業生産性革命推進事業として3400億円が盛り込まれました。

 2024年度補正予算に計上されたIT導入補助金には、4つの支援枠が設けられる予定です。

  1. 通常枠
  2. 複数社連携IT導入枠
  3. インボイス枠(インボイス対応類型・電子取引類型)
  4. セキュリティ対策推進枠

 生産性の向上に資するITツール(ソフトウェア、サービス)の導入費用を支援します。クラウド利用料を最大2年分補助し、保守運用等の導入関連費用も支援します。

 補助対象経費は、ソフトウェア購入費と最大2年分のクラウド利用料、導入関連費です。導入関連費には、保守サポートやマニュアル作成等の費用に加えて、IT活用の定着を促す導入後の活用支援も含まれます。

 補助額は、ITツールがカバーする業務プロセスが1~3つまでなら5万~150万円。4つ以上なら150万~450万円となります。補助率は中小企業の場合原則1/2ですが、3ヵ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員数が全従業員数の30%以上であることを示した事業者は2/3となります。

 複数社連携IT導入枠とは、10者以上の中小企業・小規模事業者等が連携した、インボイス制度への対応やキャッシュレス決済を導入する取組等を支援する枠です。補助対象経費は、補助対象経費は、ソフトウェア購入費と最大2年分のクラウド利用料、導入関連費に加えてハードウェア購入費も対象になります。

 補助額は、インボイス枠対象経費として以下のようになります。

  • ITツールは1機能なら50万円まで。2機能以上なら350万円まで
  • PC・タブレット等は10万円まで
  • レジ・券売機等は20万円まで

 さらに、消費動向等分析経費として50万円×グループ構成員数の補助があります。この2つを合わせて3000万円までとなります。このほか、事務費・専門家経費として200万円までの補助も可能です。

 補助率は、インボイス枠対象経費については50万円以下なら3/4(小規模事業者の場合は4/5)となります。50万~350万円なら2/3。ハードウェア購入費は1/2です。

 インボイス枠には2つの類型があり、まずインボイス対応類型から紹介します。
2023年10月から始まったインボイス制度への対応に特化した支援枠で、会計・受発注・決済ソフトに加え、PC·タブレット・レジ・券売機等のハードウェア導入費用も支援します。

 補助対象経費や補助額、補助率は一部と共通です。

 補助対象経費は、補助対象経費は、ソフトウェア購入費と最大2年分のクラウド利用料、導入関連費に加えてハードウェア購入費も対象になります。

 補助額は以下の通りです。

  • ITツールは1機能なら50万円まで。2機能以上なら350万円まで
  • PC・タブレット等は10万円まで
  • レジ・券売機等は20万円まで

 補助率は、インボイス枠対象経費については50万円以下なら3/4(小規模事業者の場合は4/5)となります。50万~350万円なら2/3。ハードウェア購入費は1/2です。

 インボイス枠の電子取引類型は、大企業を含む発注者が費用を負担してインボイス対応済の受発注ソフトを導入し、受注者である中小企業·小規模事業者等が無償で利用できるケースを支援します。

 補助対象経費は、クラウド利用料最大2年分です。補助額は350万円まで。補助率は大企業で1/2、中小企業で2/3となります。

 セキュリティ対策推進枠とは、情報処理推進機構(IPA)が公表する「サイバーセキュリティお助け隊サービスリスト」に掲載されているセキュリティサービスの利用料を支援する枠です。IT導入補助金2024よりも補助額や補助率が一部引き上げられました。

 補助対象経費はサイバーセキュリティお助け隊サービス利用料の最大2年分です。

 補助額で言うと、5万~150万円で、補助率は、中小企業なら1/2、小規模事業者なら2/3です。

 IT導入補助金は2024年、不正受給が相次いで発覚し問題となりました。会計検査院が指摘したのは、2022~2024年度にキックバックなど計1億4755万円分の不正です。

 そのため、2025年は審査がより厳しくなる可能性がありますので、審査期間などには注意が必要でしょう。