目次

  1. ものづくり補助金とは
  2. ものづくり補助金の基本要件
  3. ものづくり補助金の補助上限・補助率 特例措置も
    1. 製品・サービス高付加価値化枠
    2. グローバル枠
  4. ものづくり補助金の対象経費
  5. 収益納付とは 「収益納付は求めません」と明記

 中小企業庁によると、ものづくり補助金とは、働き方改革や賃上げなど、中小企業・小規模事業者等が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更に対応するため、革新的な製品・サービスの開発、生産プロセス等の省力化など生産性を向上させるための設備投資を支援する補助金です。

 政府の2024年度補正予算に、ものづくり補助金も含む中小企業生産性革命推進事業として3400億円が盛り込まれました。

 中小企業・小規模事業者等が、革新的な製品・サービス開発を行い、以下の基本要件をすべて満たす3~5 年の事業計画に取り組むことが必要です。

  • 付加価値額の年平均成長率が+3.0%以上増加
  • 1人あたり給与支給総額の年平均成長率が事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上または給与支給総額の年平均成長率が+2.0%以上増加
  • 事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+30円以上の水準
  • 次世代育成支援対策推進法に基づく一般事業主行動計画を公表等(従業員21人以上の場合のみ)

 ものづくり補助金に採択された事業者は、3~5年の事業計画に基づき事業を実施しつつ、毎年、事業化状況報告を提出する必要があります。

 また、上記の基本要件が達成できない場合、補助金返還義務があることに注意が必要です。

 ものづくり補助金には、革新的な新製品・新サービスの開発による高付加価値化を目指す「製品・サービス高付加価値化枠」と、海外事業の実施による国内の生産性向上を目指す「グローバル枠」の2つを設ける予定です。それぞれの補助率・補助上限は以下の通りです。

 製品・サービス高付加価値化枠の補助上限は従業員数によって変わります。また、①給与支給総額の年平均成長率+6.0%以上増加、②事業所内最低賃金が事業実施都道府県における最低賃金+50円以上の水準を達成した場合には、大幅賃上げ特例があります。

 補助上限は以下の通りです。()内が大幅賃上げ特例を達成した場合です。

  • 5人以下750万円(850万円)
  • 6~20人1000万円(1250万円)
  • 21~50人1500万円(2500万円)
  • 51人以上2500万円(3500万円)

 中小企業向けの補助率は基本的に1/2ですが、指定する一定期間において、3ヵ月以上地域別最低賃金+50円以内で雇用している従業員が全従業員数の30%以上いる場合は、最低賃金引上げ特例で、2/3となります。

 しかし、いずれか一方でも達成できないと補助金の返還義務があります。

 このほか、小規模・再生事業者の補助率は2/3です。

 グローバル枠の補助上限は3000万円で、補助率は中小企業で1/2、小規模事業者で2/3となります。

 ものづくり補助金の対象経費としてまず、機械装置・システム構築費は必須となります。このほか、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、原材料費、外注費、知的財産権等関連経費も補助対象です。

 グローバル枠のみ、海外旅費、通訳・翻訳費、広告宣伝・販売促進費も補助金の対象経費となります。

 2025年のものづくり補助金のポイントとして「収益納付は求めない」と明記された点にあります。収益納付とは、補助金適化法を根拠として、収益が生じた場合には、補助金交付額を限度として収益金の一部または全部に相当する額を国庫へ返納することです。

 2023年度補正予算にもとづくものづくり補助金の公募要領には「事業化状況の報告から、本事業の成果の事業化又は知的財産権の譲渡又は実施権設定及びその他当該事業の実
施結果の他への供与により収益が得られたと認められる場合には、受領した補助金の額を上限として収益納付しなければなりません」と書かれていました。

 しかし、2024年度補正予算をもとに中小企業庁が作成した資料には「収益納付は求めません」と書かれています。この点について、中小企業庁イノベーションチームは「中小企業の成長を加速させるという観点から、財務当局と調整した結果、収益納付を求めないということとなった」と説明しています。