目次

  1. 独自印刷を支える「なんでもくん」
  2. 40歳を過ぎて家業へ
  3. 試作工場で印刷機を開放
  4. 製造業の仲間とチームを結成
  5. 売り上げ85%減でも固めた決意
  6. つながりを生んだ「沿線グラス」
  7. 沿線グラスがもたらした効果
  8. 父が残したものを次世代へ

 安心堂は、丸山さんの父・寛治さんが1974年に興したマルミ産業が前身です。インキが付着したシリコンパッドを対象物に押し付けるパッド印刷、絹布を版材としたシルクスクリーン印刷、UVインキを用いたUV印刷の三つに対応しています。

 丸山さんは「平面や曲面はもちろん、表面が凸凹のものにも印刷できます。扱う素材は、プラスチックやガラス、布地、レザー、陶器、ステンレスなど。食品残さとプラスチックを混ぜた新素材などにも印刷可能です」と胸を張ります。

 発注は、企業の記念品やトロフィーの名入れ、ロゴやオリジナルグッズの印刷など多種多様で、「記念品100個」といった小ロットにも対応できます。従業員数は5人ながら、大手環境マネジメント企業「日本カルミック」(東京)をはじめ、取引先は数千社にのぼります。

創業者の父寛治さんが開発した「なんでもくん」
創業者の父寛治さんが開発した「なんでもくん」

 その技術を支えるのが、寛治さんが開発した手動式小型パッド印刷機「なんでもくん」です。

 丸山さんは「パッド印刷は比較的ローコストですが、セットアップや機械操作、クリーニングが面倒です。父はもっと手軽に印刷できるようにしたいと、シンプルな構造の『なんでもくん』を開発しました」と説明します。

 「なんでもくん」は、製版から印刷まで一貫して行うことができ、印刷対象の素材やサイズを問わず、超精密品から日用雑貨まで簡単にパッド印刷ができます。区認定の「足立ブランド」にもなり、展示会にも定期的に出展できるようになりました。 

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