最低賃金、全国平均で1055円 2024年度の引き上げはいつから?
厚生労働省によると、最低賃金とは、最低賃金法にもとづき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする基準です。中央最低賃金審議会は、2024年度(令和6年度)の地域別最低賃金額改定について47都道府県で一律50円を引き上げ、全国で平均1054円とする目安を示しました。しかし、2024年は27県の地方最低賃金審議会で、目安を上回る51~84円引き上げるとする答申が出ました。
厚生労働省によると、最低賃金とは、最低賃金法にもとづき国が賃金の最低限度を定め、使用者はその最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする基準です。中央最低賃金審議会は、2024年度(令和6年度)の地域別最低賃金額改定について47都道府県で一律50円を引き上げ、全国で平均1054円とする目安を示しました。しかし、2024年は27県の地方最低賃金審議会で、目安を上回る51~84円引き上げるとする答申が出ました。
目次
厚生労働省の特設サイトなどによると、最低賃金は、最低賃金審議会で、賃金の実態調査結果などを参考にしながら審議され、①労働者の生計費、②労働者の賃金、③通常の事業の賃金支払能力を考慮して毎年、改定されています。
最低賃金には、産業に関わりなく地域内のすべての労働者に適用される「地域別最低賃金」と、例えば電気機械器具製造業、自動車小売業など特定の産業に働く労働者に適用される「特定最低賃金」の2種類があります。
1978年度から地域別最低賃金の整合性を図るため、中央最低賃金審議会が毎年、地域別最低賃金額改定の「目安」を作り、地方最低賃金審議会へ提示しています。
目安は、地方最低賃金審議会の審議の参考として示すものであって、拘束するものでないといいます。
2024年度(令和6年度)の地域別最低賃金額改定の目安について、7月25日に開催された第69回中央最低賃金審議会(会長:藤村博之 独立行政法人労働政策研究・研修機構理事長)が答申をまとめました。
答申によると、2024年度(令和6年度)の地域別最低賃金額改定の目安は、Aランク(埼玉、千葉、東京、神奈川、愛知、大阪)が50円、Bランク(北海道、宮城など28県)が50円、Cランク(青森、岩手など13県)が50円と設定されました。消費者物価の上昇などを重視したといいます。
中央最低賃金審議会で答申された改定額の目安を参考にしつつ、各地方最低賃金審議会は8月、地域における賃金実態調査や参考人の意見等も踏まえた上で答申を行い、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定しました。
2024年は各県の地方最低賃金審議会で目安を上回る最低賃金で答申する例が相次いだ結果、27県で中央最低賃金審議会が示した目安の50円を上回り、前年度より51円引き上げ、全国平均は1055円となりました。
年度 | 時間額(円) | 対前年度引上げ額(円) |
---|---|---|
2015 | 798 | 18 |
2016 | 823 | 25 |
2017 | 848 | 25 |
2018 | 874 | 26 |
2019 | 901 | 27 |
2020 | 902 | 1 |
2021 | 930 | 28 |
2022 | 961 | 31 |
2023 | 1004 | 43 |
2024 | 1055 | 51 |
引き上げ額 | 都道府県名()内は最低賃金 |
---|---|
84円 | 徳島県(980円) |
59円 | 岩手県(952円)、愛媛県(956円) |
58円 | 島根県(962円) |
57円 | 鳥取県(957円) |
56円 | 佐賀県(956円)、鹿児島県(953円)、沖縄県(952円) |
55円 | 青森県(953円)、山形県(955円)、福島県(955円)、高知県(952円)、大分県(954円)、長崎県(953円)、宮崎県(952円) |
54円 | 秋田県(951円)、新潟県(985円)、熊本県(952円) |
53円 | 福井県(984円) |
52円 | 茨城県(1005円)、香川県(970円) |
51円 | 石川県(984円)、岐阜県(1001円)、兵庫県(1052円)、和歌山県(980円)、山口県(979円)、福岡県(992円) |
新しい最低賃金は、各都道府県労働局長が地域別最低賃金額を決定後、10月1日~11月1日に発効されます。答申された最低賃金の改定額と発効予定日は以下の通りです。
都道府県 | 答申された改定額 | 発行予定日 |
---|---|---|
北海道 | 1010円 | 2024年10月1日 |
青森県 | 953円 | 2024年10月5日 |
岩手県 | 952円 | 2024年10月27日 |
宮城県 | 973円 | 2024年10月1日 |
秋田県 | 951円 | 2024年10月1日 |
山形県 | 955円 | 2024年10月19日 |
福島県 | 955円 | 2024年10月5日 |
茨城県 | 1005円 | 2024年10月1日 |
栃木県 | 1004円 | 2024年10月1日 |
群馬県 | 985円 | 2024年10月4日 |
埼玉県 | 1078円 | 2024年10月1日 |
千葉県 | 1076円 | 2024年10月1日 |
東京都 | 1163円 | 2024年10月1日 |
神奈川県 | 1162円 | 2024年10月1日 |
新潟県 | 985円 | 2024年10月1日 |
富山県 | 998円 | 2024年10月1日 |
石川県 | 984円 | 2024年10月5日 |
福井県 | 984円 | 2024年10月5日 |
山梨県 | 988円 | 2024年10月1日 |
長野県 | 998円 | 2024年10月1日 |
岐阜県 | 1001円 | 2024年10月1日 |
静岡県 | 1034円 | 2024年10月1日 |
愛知県 | 1077円 | 2024年10月1日 |
三重県 | 1023円 | 2024年10月1日 |
滋賀県 | 1017円 | 2024年10月1日 |
京都府 | 1058円 | 2024年10月1日 |
大阪府 | 1114円 | 2024年10月1日 |
兵庫県 | 1052円 | 2024年10月1日 |
奈良県 | 986円 | 2024年10月1日 |
和歌山県 | 980円 | 2024年10月1日 |
鳥取県 | 957円 | 2024年10月5日 |
島根県 | 962円 | 2024年10月12日 |
岡山県 | 982円 | 2024年10月2日 |
広島県 | 1020円 | 2024年10月1日 |
山口県 | 979円 | 2024年10月1日 |
徳島県 | 980円 | 2024年11月1日 |
香川県 | 970円 | 2024年10月2日 |
愛媛県 | 956円 | 2024年10月13日 |
高知県 | 952円 | 2024年10月9日 |
福岡県 | 992円 | 2024年10月5日 |
佐賀県 | 956円 | 2024年10月17日 |
長崎県 | 953円 | 2024年10月12日 |
熊本県 | 952円 | 2024年10月5日 |
大分県 | 954円 | 2024年10月5日 |
宮崎県 | 952円 | 2024年10月5日 |
鹿児島県 | 953円 | 2024年10月5日 |
沖縄県 | 952円 | 2024年10月9日 |
東京商工リサーチが最低賃金の引き上げを受けて給与設定の変更をするか、資本金1億円未満の中小企業にアンケートしたところ、4957社から回答がありました。
それによると、回答企業の58.77%は「引き上げ後の最低賃金額より低い時給での雇用はなく、給与は変更しない」との回答でしたが、「引き上げ後の最低賃金より低い時給での雇用はないが、給与を引き上げる」は21.57%、「現在の時給は引き上げ後の最低賃金額を下回っており、最低賃金額と同額まで給与を引き上げる」が12.02%、「現在の時給は引き上げ後の最低賃金を下回っており、最低賃金額を超える水準まで給与を引き上げる」が7.65%でした。
つまり合計41.24%の企業は最低賃金の引き上げに伴い、何らかの形で給与を引き上げるとの回答でした。
令和6年度地域別最低賃金額改定の目安に関する公益委員見解として、政府に対して、生産性向上支援、価格転嫁対策の徹底、年収の壁の撤廃など、中小企業の賃上げ環境整備を強く要望しました。
最低賃金の引き上げに役立つ助成金や支援策として、生産性向上を支援して事業場内で最も低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図るための「業務改善助成金」や「賃上げ促進税制」、中小企業が抱える様々な課題に対応するためのワンストップ相談窓口「働き方改革推進支援センター」などがあります。
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