目次

  1. 多角的な視点とは
    1. 多角的の意味 多面的との違い
    2. 多角的な視点の類語・言い換え
    3. 多角的な視点が求められる背景
  2. 多角的な視点を身につけるメリット
    1. 行き詰まった問題を解決できる 
    2. この先の可能性が広がる
    3. ポジティブマインドが身につく
    4. 発想力が豊かになる
  3. 多角的な視点を身につける方法
    1. さまざまなジャンルの人と交流する
    2. 多くのジャンルの本を読む
    3. 対立する視点でものごとを考える
    4. アイデアや情報を疑ってみる
    5. 問題点を見える化する
  4. 多角的な視点のデメリット・注意点
    1. 即断即決がしづらくなる
    2. 周りの意見に振り回される
    3. 間違った手段を使うリスクがあるる
  5. 多角的な視点はこれからの時代における必須ツール

 多角的な視点とは、ものごとを複数の視点から見て分析を行うことです。特に問題や課題に対して解決策を見出すときに役立つものであり、一つの視点では見えてこなかった事実が多角的な視点で判明したり、解決への糸口になったりすることがあります。

 例えば「顧客満足を上げる」を考えたときに、接客の視点からばかり考えてしまうと、社員が疲弊してしまう危険性があります。多角的な視点で「商品の改善」「社員満足度の向上」「地域貢献を行う」「ツールや仕組みの活用」などを考えると、よりみんなが納得し満足できる方法を考えることができるでしょう。

 多角的とは、現象や事象をさまざまな角度から捉えることです。似たような言葉に「多面的」というものがあります。

 まずは、この二つの違いを理解しましょう。

多角的と多面的の違い
多角的 現象や事象をさまざまな角度から捉えること。また、さまざまな角度から捉えたうえで「どうしたらよいか?」=「How」を考える思考

使用例:この問題の解決策を多角的な視点から考える
多面的 現象や事象自体がさまざまな側面を持つこと。また、その側面の「なぜだろう?」=「Why」を考える思考

使用例:この問題の原因を多面的な視点から考える

 「多角的な視点」の「多角的」は、以下のように言い換えられます。

多角的の言い換え例
・多方的な視点
・複数の視点
・多様な視点
・さまざまな視点

 いずれも「複数の目線で見る」という言い方になります。

 また、「視点」を言い換えると次のように言い換えられます。

視点の言い換え例
・多角的な考察
・多角的な視野
・多角的な観察
・多角的なアプローチ

 いずれもものの見方、捉え方の語句の違いになります。

 他方、意味が似ている言葉には、以下のようなものがあります。

多角的な視点の類語
広い視野:思考や知識の幅に囚われず広くものごとを見る
高い視座:立場や感情に囚われず客観ことにものごとを判断する

 現代では、グローバル化の時代により、多様化された異文化(価値観)の受け入れが必要とされています。また、ソーシャルメディアの普及もあり、多くの人の声が市場に反映されるようになりました。

 そのため、ビジネスにおいても多角的な視点が重要視されるようになったのです。具体的には、企業としての意思決定のプロセスで、自分の中にある固定観念を手放し、多くの価値観を認識する必要がでてきました。

 多角的な視点を持つことは、現代社会でビジネスを行ううえで必須の考え方といえるでしょう。

 多角的な視点を身につけることで、次のようなメリットを得られます。

多角的な視点を身につけるメリット
・行き詰った問題を解決できる
・さまざまな可能性が広がる
・ポジティブマインドが身につく
・発想力が豊かになる

 問題解決を考えるとき、一つの視点または狭い視点では解決策が見出せず、行き詰まってしまうでしょう。

 多角的な視点でものごとを捉えることで、今まで見えてこなかった新しい事実を発見したり、別の解釈でものごとを捉えたりできるようになります。その結果、解決のヒントを見出すことができます。

 一つの価値観でしか見ていないと、この先の行動の可能性が狭くなってしまいます。多角的な視点により「多様な価値観」を見つめることで、あらゆる可能性が広がっていくでしょう。これは、特に人生の進路において考えて欲しい見方です。

 実は、筆者自身も以前はエンジニアとして、社員の立場からしか人生を考えられませんでした。それが、今はコンサルタントの立場から「経営者の視点」を持つようになり、さらには「社会貢献」といった価値観を大切にすることで、いろいろなお役目をいただけるようになりました。

 多角的な視点で見つめる「あらゆる価値観」が、人生の幅を広げることにつながっていったのです。

 ネガティブな考えも、リフレーミングによりポジティブに捉えられるようになります。リフレーミングとは、欠点やネガティブな考えを、いつもとは違った枠組みや視点で、長所やポジティブなものとして捉える見方のことです。

 例えば、「暗い性格」とネガティブに思っていることも、リフレーミングで「物静かである」「落ち着いている」とポジティブな見方に変換できます。

 このように、多角的な視点で見ることで、今までとは正反対の答えが見えてくるでしょう。これを繰り返していくうちに、ポジティブマインドが身についてきます。

 一人で考えるよりも、ブレインストーミングを用いて複数人で多くの視点から考えたほうが、たくさんのアイデアが出てくるものです。

 多角的な視点を持つことで、一人で多くの視点から考えたアイデア出しが行えるようになります。このようにしていくことで、発想力が豊かになり、たくさんのアイデアを出せるようになります。

 多角的な視点を身につけるためには、多くの視点を持つ必要があります。そのための思考習慣を、次のような方法で身につけてみましょう。

多角的な視点を身につける方法
多角的な視点を身につける方法(デザイン:中村里歩)

 同一業界の人だけと交流をすると、視点が固まってしまいがちになります。男女、年齢、職業、国を問わず、普段接点のないさまざまなジャンルの人と交流し、各々が持っている価値観を知ってみましょう。

 多くの価値観を知ることが、多角的な視点を持つ第一歩ともいえます。

 本もさまざまな価値観に触れる機会の一つとして捉えられます。好きなジャンルだけでなく、今話題の本や昔から読まれている本など、幅広い分野の本を読んでみましょう。

 多くのジャンルの本を読むことで、今まで自分が持っていなかった視点を擬似的に体験できます。

 例えば「成功」を考えるとき、うまくいく方法ばかりを探ってしまいがちです。しかし「失敗」を考えると、逆に「失敗しない方法」を見出せます。

 このように、対立する視点でものごとを捉える思考の訓練により、多角的な視点を養うことができます。

 頭にひらめいたアイデアや知り得た情報は、すぐに実行したくなるでしょう。しかし、ここで一歩引いて、これらを疑ってみてください。

 「本当にこれでいいのか、他にはないのか?」

 こうやって自問自答しつつ、さらに他のアイデアを引き出したり、他の情報を探ったりすることで、多角的な視点で考える習慣が身についていきます。

 問題を抱えたときに、そこにある事実を書き出してみましょう。見える化により、客観的な視点で問題を捉えられるようになります。それにより、多角的な視点からの戦略や思考がひらめきやすくなるでしょう。

 また、俯瞰的な視点でものごとを捉えることができるため、多角的な視点が養われて新しい事実を見出せる可能性が高まります。

 多角的な視点でものごとを捉えるのは、多くのメリットがあります。しかし、逆にデメリットや注意点もあります。

多角的な視点のデメリット・注意点
・即断即決がやりづらくなる
・周りの意見に振り回される
・間違った手段を使うリスクがある

 多角的な視点を意識するときは、これらに気をつけてみましょう。

 多角的な視点で考える際には、さまざまな方向からの思考を巡らせる必要があります。そのため、何かを決めるまでにはどうしても時間がかかってしまい、即断即決がしづらくなるというデメリットがあります。

 このような事態を避けるためにも、普段から多角的に見て判断する思考習慣を身につけましょう。そうすることで、短い時間で判断できるようになります。

 「多角的な視点を持つ」=「多くの人の言葉に耳を傾ける」ことでもあります。その結果、自分の意見を後回しにして、周りの意見に振り回されてしまう危険性もあるというわけです。

 自分の判断基準をしっかりと持ちつつ、取り入れるべき視点、捨てる視点を明確にして、より良い判断を行うことが大切です。

 多角的な視点でものごとを捉えることを目的としてしまうと、視点を変えることだけに意識が向いてしまい、間違った手段を使う危険性があります。多角的な視点は、あくまでも「手法」の一つであると認識しておきましょう。

 どんな場面で多角的な視点を活用すればよいか、ここを明確にしておきましょう。

 これからの時代は、多様性を認めることが重要視されています。一人ひとりの考え方や価値観に沿った商品、サービス、手法などが求められる時代です。

 過去の大量生産で画一化された価値のものを提供するだけでは、ビジネスが成り立たないだけでなく、人間関係にも大きく影響してしまいます。

 だからこそ、多角的な視点を持つことは今後の必須ツールと考えて間違いありません。まずは多角的な視点を養い、どこでどのように活用してくのかを考えて取り組んでいきましょう。