目次

  1. 思いがけず聞いたユースキンの評判
  2. 自ら手を挙げて富山工場へ
  3. 社内ブランディングに注力
  4. エシカル販売をスピードアップ
  5. 有料コンテンツを提供する目的
  6. プロ麻雀チームをスポンサード
  7. Jリーグの「応援だより」を自ら執筆
  8. 親子愛の製品秘話を発信

 ユースキン製薬は1955年、薬局を営んでいた野渡さんの祖父・良清氏が瑞穂化学工業として創業しました。来店客からの「ベタつかずに効くハンドクリームはありませんか」という声に応えるため、ハンドクリーム「ユースキン」を開発。1968年に現社名となります。

初代のユースキン(ユースキン製薬提供)
初代のユースキン(ユースキン製薬提供)

 保湿性の高さや使い心地の良さから、ユースキンはハンドクリームの人気製品となり、売上高47億3千万円(2024年7月期)、従業員数145人の規模になりました。

 3代目の野渡さんは幼いころ、祖父と3世代で同居していました。当時の家は顧客への手紙の発送やデータ入力、サンプリングの袋詰めを行う仕事場でもあり、野渡さんも作業を手伝ったそうです。

 ユースキン製薬は身近な存在でしたが、「自分の人生は自分で決めたい」という思いから、大学時代は周りと同じく就職活動して大手ベビー用品メーカーに入社。海外の代理店との折衝や市場調査、プロモーションなどに携わりました。メーカーで働くうち、ユースキン製品にも少しずつ興味がわいたといいます。

ユースキン製薬は約70年の歴史を持ちます(ユースキン製薬提供)
ユースキン製薬は約70年の歴史を持ちます(ユースキン製薬提供)

 思いがけず、家業の価値を実感する出来事もありました。野渡さんが後継ぎであることを知らない先輩が、ユースキンのことをほめてくれたのです。

 「私の父の会社であることを知らず、『これ知ってる?すごくいいよ』とユースキン製薬のリップクリームをすすめてきた先輩がいました。さらにリップクリームのスティックが折れてしまったときのお客様相談室の電話対応が『とても良かった』と話してくれたのです。誇らしくうれしい気持ちになりました」

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