目次

  1. 「経営もわからないキラキラ女子」
  2. 存続危機で後継に名乗り
  3. 入社して見えてきた課題
  4. 離職が続いても心は折れず
  5. 採用を強化しても定着せず
  6. 電柱や配線設備も備えた研修棟に
  7. 戦力化を早めて業績アップ
  8. 人材育成を柱に100周年へ

 「お前じゃ話にならないから帰れ!」

 家業に入ったころ、見積書を持って訪れた取引先で、石川さんは厳しい言葉を突きつけられました。化粧は濃いめ、きれいな縦巻きにセットした髪にネイルもバッチリ決めた彼女を、誰も本気で相手にしてくれませんでした。

 「学生のころは会社を継ぐ気はなく、玉の輿に乗って専業主婦になりたいと思っていたんです」。そんな彼女は、高齢の父が経営する会社の危機を知り、26歳で電気工事の世界に足を踏み入れました。

 2013年に30歳で3代目社長に就任。「バリバリ働くキャリアウーマンにあこがれていたから、社長という肩書が魅力的でした」と笑い、自身を「経営もわからないキラキラ女子だった」と振り返ります。

 現在は就任12期目。2023年度の売り上げは3.3億円、従業員の平均年齢は31.5歳と若返り、経営基盤を安定させました。少子高齢化による若手の人材不足や長時間労働が課題の建設業で、育成を軸に独自の経営モデルを築き、新風を吹き込んでいます。

石川さんは、社長就任当時を「キラキラ女子だった」と振り返ります
石川さんは、社長就任当時を「キラキラ女子だった」と振り返ります

 東陽電気工事は1933年、東京に本社を置く東光電気工事の白河出張所として始まり、1965年に株式会社化しました。公共・民間の電気設備工事、送電線の設置やメンテナンスなど幅広い実績を誇り、福島県白河市周辺の地域インフラを支えてきました。

(続きは会員登録で読めます)

ツギノジダイに会員登録をすると、記事全文をお読みいただけます。
おすすめ記事をまとめたメールマガジンも受信できます。