経営立て直し図る日産、国内取引数が半年で5%減 東京商工リサーチ調査

日産自動車グループの2024年12月時点の国内取引先は1万3283社と、半年間で5%にあたる762社減ったことが東京商工リサーチの分析で明らかになりました。とくに中小企業は7.4%減と減少幅が大きかったといいます。日産が2024年11月に発表したグローバル生産能力20%削減、グローバル人員9000人削減などの経営合理策により、取引先にもさらに影響が出る可能性があると指摘しています。
日産自動車グループの2024年12月時点の国内取引先は1万3283社と、半年間で5%にあたる762社減ったことが東京商工リサーチの分析で明らかになりました。とくに中小企業は7.4%減と減少幅が大きかったといいます。日産が2024年11月に発表したグローバル生産能力20%削減、グローバル人員9000人削減などの経営合理策により、取引先にもさらに影響が出る可能性があると指摘しています。
日産自動車の公式サイトによると、2024年4月~9月累計で、グローバル生産は、対前年同期比-7.8%と前年実績を下回り、153万2501台。国内生産も対前年同期比-13.4%と前年実績を下回り、30万7101台となりました。
さらに、日産自動車の決算報告によると、2024年9月半期中間決算は、営業利益が前年同期比90.2%減となり、グローバルでの生産能力を20%減らし、9000人の人員削減をすると発表しました。
経営が急速に悪化した要因として、日本で開発を先行させていた電気自動車(EV)の販売が振るわない一方、アメリカで他社が販売の主軸としているハイブリッド車(HV)を投入していないこと、インセンティブ(販売奨励金)に頼った販売をしていたことなどが挙げられています。
こうしたなか、東京商工リサーチは、2024年12月時点での日産自動車グループの国内取引先の社数を調べました。
具体的には、東京商工リサーチによると、企業データベースから日産グループの2024年3月期有価証券報告書に記載された国内連結子会社と三菱自動車工業を含む持分法適用会社の18社(日産自動車含む)の1次(直接)、2次(間接)の取引企業を抽出しました。
すると、2024年12月9日時点の国内取引先の合計は、1万3283社で、6月の調査(1万4045社)から半年で762社(5.4%)減っていました。
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今後の経営合理化の影響を予測するうえで、産業別や都道府県別の取引先の数についても、まとめています。
産業別では、自動車部品メーカーなど製造業が5139社(構成比38.6%)と最も多く、卸売業の3104社(同23.3%)、配達飲食サービス業や人材派遣業などサービス業他が1891社(同14.2%)と続きました。
都道府県別の取引先計は、東京都が3949社で最多。次いで、日産自動車の本社がある神奈川県が1757社、自動車部品メーカーが集積する愛知県が1350社、大阪府の1127社、静岡県の561社と続いていました。
日産グループは国内に5つの組み立て工場と2つのエンジン工場があります。スカイラインなど栃木工場のある栃木県は10位、追浜工場や日産車体湘南工場、横浜工場の神奈川県は2位、日産自動車九州や日産車体九州の福岡県は7位、エンジンのいわき工場の福島県は22位となっていました。
2024年11月に開催した2024年度上期決算報告で、内田誠社長兼CEOは、今後の展望を次のように述べていました。
「現在の業績悪化と市場環境を踏まえ、今後のいかなるビジネス環境の変化にも柔軟・機敏に対応できるスリムで強靭な事業構造に再構築すること、そして、事業のコアである商品力を高め、再び成長軌道に会社を戻します。具体的には、2026年度までに、年間350万台レベルの販売台数でも株主還元や将来の成長に向けた投資を継続的に可能とする門構え、収益構造に会社を変革します。併せて、中長期的視野に立ち、ルノー、三菱自動車、ホンダとの戦略的パートナーシップの推進などにより、投資効率、商品競争力を高め、持続的な成長を実現していきます」
具体的な事業再構築として、グローバル生産能力20%削減、グローバル人員9000人削減するという経営合理策を明らかにしました。
このほか、製造原価の削減についても、次世代EVのコスト削減方策の1つである部品種類の最小化、仕様の最適化をICE、e-POWERモデルにも前倒しで適用する予定です。あわせて、会社資産の合理化、設備投資、研究開発費の優先度の見直しを実施する予定です。
これにより、2024年度比で、固定費を3000億円、変動費を1000億円削減する予定だといいます。こうした方策が今後、取引先にどのような影響を及ぼすか注視が必要です。
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