目次

  1. トランプ大統領の米国第一の貿易政策とは
  2. トランプ大統領、2月4日からメキシコ・カナダ・中国に関税
  3. トランプ2.0、関税がもたらす日本への影響分析を紹介
    1. JETROアジア経済研究所はプラスと分析
    2. 三菱総合研究所(MRI)「リスクも事業機会も」
    3. ニッセイ基礎研究所、関税政策は「2月1日が試金石」
    4. 大和総研「現地生産が回避策になりうる」
  4. トランプ大統領にとって関税は交渉材料

 米ホワイトハウスの公式サイトによると、トランプ大統領は1月20日、大統領覚書「米国第一の貿易政策」を発表しました。

 貿易政策を国家安全保障の重要な要素として扱い、主要な安全保障ニーズを満たすために他国への依存を減らすと表明。連邦政府の各部署に調査と、以下のような対処を取るよう指示しています。

  • 不公正で不均衡な取引への対処(貿易赤字の影響とリスク調査)
  • 中華人民共和国との経済貿易関係(経済貿易協定の再検討)
  • 追加の経済安全保障の問題

 大統領覚書は、関税について具体的な導入時期は明記していません。ただし、米国の貿易赤字の解消だけでなく、カナダ、メキシコ、中国などからの不法な移民および合成麻薬「フェンタニル」の流入への対処を迫る目的があるため、2月1日に執行する可能性があるとトランプ大統領は発言していました。

 さらに、2026年7月には米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の見直しが予定されており、大統領覚書は、USMCA影響調査についても指示しています。

 現状は、メキシコで原産地規則を満たす生産や加工をすれば、生産企業の国籍にかかわらず、無税で米国へ輸出できるのですが、トランプ大統領は就任前から中国企業がメキシコを経由して無税で輸出するのを防ぐ意向を明らかにしています。

 一方、大統領覚書は、関係省庁からの報告期限の多くを4月1日までと設定しているため、世界各国からの輸入品に一律10~20%の関税を課す「ユニバーサル・ベースライン関税」は、関係省庁からの報告を受けてから分析に取り掛かるとみられますが、後述のように米国のインフレをより加速させかねず、国民や議会の理解を得られるかは不透明です。トランプ大統領のそのほかの大統領令について、地経学研究所のブログが詳しいです。

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