目次

  1. 労働者の雇用維持を図る助成金
    1. 雇用調整助成金
    2. 産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)
  2. 在籍型出向を支援する助成金
    1. 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)
  3. 離職する労働者の再就職支援を行う助成金
    1. 早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)
    2. 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)
  4. 中途採用するときに役立つ助成金
    1. 早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)
    2. 早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)
  5. 継続雇用に役立つ助成金
    1. 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
  6. 一定期間試行的に雇い入れるときに役立つ助成金
  7. そのほかの雇い入れに役立つ助成金
  8. 人材確保等支援助成金など雇用環境の整備の助成金
    1. 通年雇用助成金
    2. 65歳超雇用推進助成金
    3. キャリアアップ助成金(正社員化コース)
  9. 仕事と家庭の両立支援に関係する助成金
  10. 労働者の職業能力の向上を図る助成金

 事業主のための雇用関係助成金は、厚労省の公式サイトで取り組み内容と対象者から必要な助成金を検索できます。

 雇用調整助成金とは、景気の変動や産業構造の変化など経済的な理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、従業員を解雇せずに休業、教育訓練、または出向によって雇用維持を図る事業主を支援します。休業手当や教育訓練費、出向に要する費用の一部が助成されます。

 産業雇用安定助成金(災害特例人材確保支援コース)とは、令和6年能登半島地震の影響で事業活動が縮小した事業主が、労働者の雇用を維持・確保するために行う在籍型出向を支援します。出向元と出向先の双方の事業主に対して、賃金の一部が助成されます。

 在籍型出向とは、出向元企業と出向先企業との間の出向契約によって、労働者が出向元企業と出向先企業の両方と雇用契約を結び、一定期間継続して勤務することをいいます。在籍型出向に活用できる助成金として、産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)があります。

 産業雇用安定助成金(スキルアップ支援コース)とは、労働者のスキルアップを目的とした在籍型出向を行い、出向終了後にそのスキルを活かして賃金の上昇を図る出向元事業主に対して、出向期間中の賃金の一部を助成します。

 早期再就職支援等助成金(再就職支援コース)とは、事業規模の縮小や事業の廃止などにより離職を余儀なくされる労働者に対して、民間の職業紹介事業者に再就職支援を委託する費用の一部を助成します。また、訓練の実施や休暇付与、職業訓練の実施支援も行います。

 早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)とは、事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされた労働者等を、離職日の翌日から3ヵ月以内に期間の定めのない労働者として雇い入れ、かつ当該労働者の賃金を5%以上上昇させた事業主に対して助成を行います。

 中途採用するときに役立つ助成金として、早期再就職支援等助成金があります。

 中途採用者の雇用管理制度を整備したうえで中途採用者の採用を拡大(①中途採用率の拡大または②45歳以上の中途採用率の拡大)させた事業主に対して助成します。

 東京圏からの移住者を雇い入れた事業主に対してその採用活動に要した経費の一部を助成します。

 高年齢者(60歳以上)、障害者、母子家庭の母など、就職が特に困難な方をハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、継続して雇用する事業主に対し助成します。

 そのほか、特定求職者雇用開発助成金には、発達障害者・難病患者、就職氷河期世代を含む中高年層、生活保護受給者等を雇用する場合にも、それぞれの以下のコースで支援があります。

  • 発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース
  • 中高年層安定雇用支援コース
  • 生活保護受給者等雇用開発コース
  • 成長分野等人材確保・育成コース

 一定期間試行的に雇い入れるときに役立つのがトライアル雇用助成金です。

 トライアル雇用助成金とは、職業経験、技能、知識の不足などにより安定的な就職が困難な求職者を、ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により、一定期間試行的に雇用する事業主を支援します。

 障害者、短時間勤務を希望する精神・発達障害者、若年・女性の建設労働者を対象としたコースもあります。

  • 一般トライアルコース…安定就業を希望し、離転職を繰り返す者等
  • 障害者トライアルコース…障害者
  • 障害者短時間トライアルコース…短時間労働の精神障害者・発達障害者
  • 若年・女性建設労働者トライアルコース…35歳未満の者または女性の建設労働者

 たとえば、地域雇用開発助成金は、雇用機会が不足している地域等で事業所設置・整備を行い、地域に居住する求職者等を雇い入れる場合に助成される制度です。

 産業雇用安定助成金とは、景気の変動、産業構造の変化その他の理由で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、生産性向上に資する取組等を行うため、当該生産性向上に資する取組等に必要な新たな人材の円滑な受入れを支援するものです。

  • 地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース)…雇用情勢が特に厳しい地域等に居住する地域求職者等を雇い入れる
  • 地域雇用開発助成金(沖縄若年者雇用促進コース)…沖縄県内に居住する35歳未満の求職者を雇い入れる
  • 産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)…生産性向上に資する取組等に必要な新たな人材を雇い入れる

 労働者の雇用環境の整備を図る助成金として、たとえば、人材確保等支援助成金があります。

 人材確保等支援助成金は、魅力ある職場づくりのために労働環境の向上等を図る事業主や事業協同組合等に対して助成するものであり、人材の確保・定着を目的としています。

 人材確保等支援助成金には様々な場面で活用できるコースがあります。

  • 雇用管理制度・雇用環境整備助成コース:雇用管理制度(賃金規定制度、諸手当等制度、人事評価制度、職場活性化制度、健康づくり制度)や業務負担軽減機器等の導入を通じて、従業員の職場定着を支援する
  • 中小企業団体助成コース:事業主団体が中小企業の人材確保や労働者の職場定着を支援する建設キャリアアップシステム等活用促進コース:中小建設事業主が、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用して雇用管理改善に取り組むときに活用
  • 若年者及び女性に魅力ある職場づくり事業コース(建設分野):建設業の事業主等が、若年及び女性労働者の入職や定着を図ることを目的とした事業を実施する、または建設工事における作業についての訓練を推進する活動を実施するときに活用
  • 作業員宿舎等設置助成コース(建設分野):建設業の中小事業主等が、石川県に所在する作業員宿舎、作業員施設、賃貸住宅を賃借する、または自ら施工管理する建設工事現場に女性専用作業員施設を賃借するといったときに活用
  • 外国人労働者就労環境整備助成コース:外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(就業規則等の多言語化など)を通じて、外国人労働者の職場定着を図るときに活用
  • テレワークコース:適正な労務管理下における良質なテレワークの導入・実施を通じて従業員の離職率の低下を図る

 通年雇用助成金は、季節労働者を通年雇用するときに活用できる助成金です。

 65歳超雇用推進助成金は、65歳以上への定年引上げ等を実施するときに活用できる助成金です。65歳超雇用推進助成金には、65歳超継続雇用促進コースだけでなく、高年齢者の雇用管理制度を整備するときに活用できる「高年齢者評価制度等雇用管理改善コース」や、高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換するときに活用できる「高年齢者無期雇用転換コース」があります。

 キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者等(契約社員・パート・派遣社員など)を正社員化するときなどに活用できる助成金です。

 ほかにも以下のような場合に活用できます。

  • 障害者正社員化コース:障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換する
  • 賃金規定等改定コース:すべてまたは一部(職種別や雇用形態別)の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し、3%以上増額させる
  • 賃金規定等共通化コース:有期雇用労働者等に関して正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定等を作成し、適用する
  • 賞与・退職金制度導入コース:有期雇用労働者等を対象とした賞与または退職金制度を新たに設け、適用する
  • 社会保険適用時処遇改善コース:短時間労働者が新たに社会保険の被保険者となる際に、労働者の収入を増加させる取組(手当支給・賃上げ・労働時間延長)を行う

 仕事と家庭の両立支援に関係する助成金には、育児・介護だけでなく、不妊治療、女性の健康課題に対応するものも含まれます。

 おもなものとして、両立支援等助成金があります。以下のような場面で活用できます。

  • 出生時両立支援コース:中小企業が男性の育児休業取得推進に取り組む
  • 介護離職防止支援コース:中小企業が仕事と介護の両立支援に取り組む
  • 育児休業等支援コース:中小企業が労働者の円滑な育児休業取得・職場復帰に取り組む
  • 育休中等業務代替支援コース:中小企業が育児休業取得者や育児のための短時間勤務制度利用者の業務を代替するための体制整備を行う
  • 柔軟な働き方選択制度等支援コース:中小企業が育児中の労働者が利用できる柔軟な働き方に関する制度の利用者を支援する
  • 事業所内保育施設コース:事業所内保育施設を設置・増設・運営する
  • 不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース:不妊治療、女性の健康課題(月経、更年期)に対応するための雇用環境整備に取り組む

 労働者の職業能力の向上を図る助成金には、人材開発支援助成金があります。次のような場面で活用できるコースがあります。

  • 人材育成支援コース:職務に関連した10時間以上の訓練、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練等を実施する
  • 教育訓練休暇等付与コース: 有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得する
  • 建設労働者認定訓練コース:建設業の中小事業主等が認定訓練を実施する、または建設業の中小事業主が建設労働者に有給で受講させる
  • 建設労働者技能実習コース:建設業の事業主等が建設労働者に有給で技能実習を受講させる
  • 人への投資促進コース:デジタル人材・高度人材を育成する訓練、労働者が自発的に行う訓練、定額制訓練(サブスクリプション型)等を実施する
  • 事業展開等リスキリング支援コース:新規事業の立ち上げなどの事業展開等に伴い、新たな分野で必要となる知識及び技能を習得させるための訓練を実施する