既築住宅のZEH改修実証支援事業、2025年6月2日から公募開始
杉本崇
(最終更新:)
令和7年度既築住宅のZEH改修実証支援事業のパンフレット(事務局のサイトから https://sii.or.jp/zehplus-kaishu07/)
2025年度の「既築住宅のZEH改修実証支援事業(略称「ZEH+改修」)」の公募が2025年6月2日(月)から始まります。一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)によると、2050年カーボンニュートラル実現および2030年度の温室効果ガス排出量46%削減目標達成に向けた取り組みの一環で、既存住宅の省エネルギー性能を大幅に向上させるZEH水準改修を支援することを目的としています。公募は6月30日までですが、期間中に申請金額が予算の上限に達した時点で受付を終了します。
ZEH(ゼッチ)とは
環境省の公式サイトによると、ZEHとは、Net Zero Energy House(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の略語で、簡単にいうと「エネルギー収支をゼロ以下にする家」です。
もう少し詳しく解説すると、住宅の外壁や窓、屋根、床下など外皮の断熱性能を大幅に高めた上で、省エネ機器(暖房・冷房・換気・照明・給湯)を導入して、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー(20%以上の削減)を実現し、太陽光発電など再生可能エネルギー等を導入することにより、年間のエネルギー消費量の収支がゼロ以下とすることを目指した住宅です。
戸建住宅には、ZEHよりも高い省エネ性能などを目指したZEH+(ゼッチプラス)が定義されています。ZEH+は2025年4月から新定義が適用されます。
既築住宅のZEH改修実証支援事業(略称:ZEH+改修)の目的
2025年4月からはすべての新築住宅で省エネ基準への適合が義務化されましたが、既存住宅の省エネ化も進める必要があります。
政府は、2050年にストック平均でZEH基準の水準の省エネルギー性能を確保することを目指すなか、既築住宅のZEH改修実証支援事業(略称:ZEH+改修)は、改修による省エネ効果の実証やデータフィードバックを行い、省エネ住宅の普及、省エネ投資の拡大をはかるための事業です。事業規模は、約9億円が予定しています。
ZEH+改修の公募対象と交付要件
令和7年度既築住宅のZEH改修実証支援事業の内容
既築住宅のZEH改修実証支援事業(略称:ZEH+改修)は、改修対象となる既存戸建住宅を所有する建築事業者または販売事業者が申請できます。申請時に住宅を所有していなくても、実績報告書提出時に所有していることを条件に申請可能です。
対象となる住宅は、既存の専用戸建住宅(社宅、寮、店舗付き住宅は対象外)で、1法人につき1住戸までの申請となります。
補助金を受けるためには、以下の主要な要件を満たす必要があります。
- 外壁断熱改修の必須化:外気に接する外壁の全てにおいて断熱改修を行う
BEI≦0.7の達成:改修後の住宅のBEI(エネルギー消費性能指標)を0.7以下とする
- 断熱等性能等級6以上の外皮性能:地域区分に応じたUA値(外皮平均熱貫流率)およびηAC値(冷房期の平均日射熱取得率)の基準を満たし、断熱等性能等級6以上とすること。
- BELSの取得:第三者評価機関によるBELS評価を受け、BEI≦0.7かつ断熱等級6以上であることを示す証書を中間報告までに取得すること。
- 効果測定と報告:改修後の住宅における気温等の効果測定を実施し、その結果を報告すること。
- 1年以上の一般公開と成果報告:改修した住宅を1年以上一般に公開(オープンハウス等)し、改修効果などを広く周知する広報活動を行い、その成果を報告すること。
補助対象となる経費と補助額
補助対象となる経費は、本事業の実施に必要な設計費、設備費、工事費です。具体的には、BELS取得費用や効果測定費用(設計費)、補助対象製品の購入費(設備費)、およびこれらの製品の取付工事費などが含まれます。ただし、養生費や清掃費などは補助対象外となります。
補助率は、補助対象経費の1/3以内です。補助金の上限額は、地域区分により定められており、地域区分の1~4地域は1住戸あたり500万円、5~8地域は1住戸あたり400万円です。
事業スケジュールと申請方法
事業の公募期間は、2025年6月2日(月)10時から2025年6月30日(月)17時までです。申請書類は、SIIの公式サイトからダウンロードし、必要事項を記載の上、電子ファイル形式で指定のメールアドレスへ提出します。
中間報告書類は2025年9月30日(火)までに提出が必要となります。事業完了の期限は原則2025年12月10日(水)です。効果測定は2025年12月1日(月)から12月26日(金)のいずれか1日に実施し報告します。改修住宅の一般公開は2025年12月までに開始し、成果報告書は2026年12月25日(金)までに提出してください。
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この記事を書いた人
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杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
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