目次

  1. 団体経由産業保健活動推進助成金とは
  2. 助成対象となる団体とは
    1. 事業主団体等
    2. 労災保険の特別加入団体
  3. 助成対象となる産業保健サービスと上限額
  4. 助成対象となる経費
  5. 申請から助成金受給までの流れ

 厚労省によると、団体経由産業保健活動推進助成金は、事業主団体等を通じて、中小企業等の産業保健活動の支援を行う助成金です。

 事業主団体等が傘下の中小企業等に対して、医師等による健康診断結果の意見聴取やストレスチェック後の職場環境改善支援等の産業保健サービスを提供する費用・事務の一部を委託する費用の総額の90%(上限500万円、構成事業主が50以上などの要件を満たした団体は1000万円)を助成します。

 申請するときには、労働者健康安全機構の公式サイトで内容をしっかり確認してください。

 「団体経由産業保健活動推進助成金」の申請ができるのは、以下のいずれかの要件を満たす事業主団体等または労災保険の特別加入団体です。産業保健サービスの提供を受ける予定の構成事業主に中小企業が1社も含まれていない場合は、助成対象外となります。

 事業主団体又は共同事業主であって、中小企業事業主の占める割合が構成事
業主等全体の1/2を超えていること等、一定の要件を満たす団体等

 労働者災害補償保険法第33条第3号に掲げる者の団体または同条第5号に掲げる者の団体であって、一定の要件を満たす団体

 団体経由産業保健活動推進助成金の対象となる産業保健サービスは、以下の8種類に分類されます。

対象となる産業保健サービス 上限額
①医師、保健師等によるストレスチェックの実施及び集団分析 60万円
②医師、歯科医師による健康診断結果の意見聴取 60万円
③医師、保健師による保健指導 60万円
④医師による面接指導・意見聴取 60万円
⑤医師、保健師、看護師等による健康相談対応 20万円
⑥医療機関、事業場、両立支援コーディネーター等による個別の労働者を対象とした治療と仕事の両立支援 130万円
⑦医師、保健師、看護師等による職場環境改善支援 130万円
⑧医師、保健師、看護師等による健康教育研修、事業者と管理者向けの産業保健に関する周知啓発 20万円

 このうち、ストレスチェックの実施及び集団分析はサービス番号①に該当します。サービス①の対象は、労働者数が50人未満の事業場です。ストレスチェック実施後の集団分析結果を活用した職場環境改善支援はサービス番号⑦に含まれます。

 助成金は、助成対象となる産業保健サービス費用の合計額(助成対象経費)の9/10が基本となります。ただし、傘下の構成事業主に参加費等の費用負担を求める場合は、その負担額に応じて助成金額が異なります。

 各産業保健サービスにはそれぞれ費用上限額が定められています。 ストレスチェックに関する費用上限は以下の通りです。

  • ストレスチェック実施: 労働者1人につき200円が上限
  • 集団分析実施: 構成事業主1者につき3000円が上限

 ストレスチェック実施+集団分析実施の合計額は、60万円(都道府県事業主団体は120万円)が上限となります。

 たとえば、サービス①に該当する単価500円ストレスチェックを1020人、単価3000円の集団分析を30者に対して実施した場合、助成対象となる費用は、(200円×1020人) + (3000円×30者) = 20万4000円+9万円=29万4000円となります。

 さらに、サービス⑦に該当する職場環境改善支援について、1構成事業主につき10万円のパッケージを14者に対して実施する場合、10 万×14=140万円ですが、サービス⑦の助成対象経費上限額を考慮して、130万がサービス⑦に係る助成対象となります。

 助成対象となる経費は、上記の産業保健サービスの提供に明確に区分でき、証拠書類で金額等が確認できるものに限られます。具体的な経費の例として、以下のようなものが挙げられています。

  • 報酬: 専門家等に支払われる謝礼。
  • 旅費: 専門家等が会議やサービスの提供のために移動する費用(公共交通機関の最も経済的かつ合理的な経路の実費)。グリーン車、ビジネスクラス、日当、宿泊費は対象外です。
  • 会議費: 会場借料、会場装飾費等。講師用の茶菓代や、団体保有施設での実施費用は対象外です。
  • 印刷製本費: 研修資料、パンフレット等の作成費用(必要最小限の数量)。
  • 事務費用: 産業保健サービスの提供に係る構成事業主との連絡調整等の事務を外部機関に依頼する場合の費用。上限があり(50万円かつサービス費用の1/5)、特定の関係がある外部機関への依頼は対象外です。支給申請手続きにかかる書類作成費用も含まれます。

 助成金の手続きは、以下の流れで進みます。

  1. 交付申請: 事業実施計画等の必要書類を添付して申請します。2025年11月28日が締め切りです。
  2. 通知の受理: 交付決定または不交付決定の通知を受け取ります。
  3. 事業実施: 交付決定を受けた計画に基づき、傘下の構成事業主に対し産業保健サービスを提供します。
  4. 支給申請: 事業実施結果報告書等の必要書類を添付して申請します。実施した産業保健サービスのサービス内容の詳細や、効果検証内容(アンケート結果など)を報告書に記載する必要があります。
  5. 通知の受理: 支給決定または不支給決定の通知を受け取ります。
  6. 助成金の受給: 支給決定を受けた金額が支払われます。

 交付決定の日より前に提供されたサービスにかかる費用は助成対象外となりますので注意が必要です。また、申請期間は国の予算額により制約され、予告なく募集が終了する場合があるため、団体経由産業保健活動推進助成金の手引をよく確認してください。