サーファーを目指しアルバイトで入社

――入社する前に、2回ほどエムアイディでアルバイトをしていたそうですね。

 最初は調理師を目指していて、専門学校を出た後に1年ほど調理師として働いていました。その頃に出会った友人がサーフィン好きで、一緒に毎週のように海に行くようになったんです。面白くて、どんどんサーフィンにのめり込んでいったのですが、まだ新米調理師で給料も少なかったので交通費を出すのも一苦労でした。思っていた以上に調理師の仕事がハードだったこともあり、「いっそ海の近くに住んで、プロサーファーを目指そう」と、仕事を辞めて転居費用を稼ぐために日給の高い警備員のアルバイトを始めました。

 当時のエムアイディはまだ警備員も20~30人程度で、アットホームな雰囲気でした。たまたま「車上荒らしを張り込みでキャッチする」という変わった案件を担当したことから、社長と直接話をする機会が多く、目に留まったようです。あとで「初めて会った時から、何か惹(ひ)かれるものを感じた」と聞かされました。

 その後、サーファーを目指すべく静岡に引っ越したものの、挫折が待っていました。工場で働きながらサーフィンの技術を磨いていたのですが、海の近くに住む地元のサーファーたちがとにかく上手で。子供の頃から学校帰りや仕事帰りに気軽に波に乗るような生活を送ってきた人たちです。19歳で始めた私が、そうそうかなうわけもありません。とはいえ、働いていた工場は調理師時代に比べて給与も高く、休みにはサーフィンが存分に楽しめるという最高の環境でした。いま思えば何も考えずに楽しんでいました。

熱烈なアプローチを受けて子会社の取締役に

――その後、再びエムアイディにアルバイトとして戻った理由は?

 母子家庭に育ったこともあり「いつかは母の面倒をみたい」という気持ちがありました。いつまでも浮ついていてはダメだ、という気持ちから、静岡で3年ほど過ごした後に地元の京都に戻り、ちゃんとした仕事が見つかるまで、エムアイディでアルバイトをしようと思って北村社長に会いに行きました。

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