崩れた承継ストーリー

 石塚さんは、後継ぎになるよう言われたことはありませんでしたが、物心ついた時には「自分が家業を継ぐ」という気持ちを持っていました。

 そんな気持ちになったのは、直接の記憶はない祖父の影響が大きいそうです。家業を創業した祖父は、石塚さんが生まれてすぐ亡くなりました。 

石塚伸宏さんの祖父母

 戦時中に捕虜にされそうになり、「捕虜になるくらいなら死んだ方がマシだ」と電車から飛び降りて生還するなど、豪快な人物だったそうです。幼いころ、祖母から聞く祖父の話はまるで冒険小説のようでした。祖母から「お前はおじいちゃんの生まれ変わりだ」と言われたこともあって憧れが募り、自然と家業に誇りを持つようになりました。

 「家業を次の時代に繋いでいく」。中学生のころ、社長の父に後継ぎになりたいと伝えたところ、返ってきたのは意外な言葉でした。

 「新規事業を立ち上げなければ、後継者になることは認めない。継ぎたいなら自分で事業を持って来い」

 石塚さんは面食らい、戸惑いました。後継ぎとして若いうちから父を手助けし、家業のノウハウを学んで盛り立てていく――。

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