結果を出して父を説得

 今野梱包3代目社長の今野英樹さん(48)は自動車ディーラーに勤めていましたが、心から尊敬していたという創業者の祖父の死をきっかけに「自分が会社を守らなければ」との思いを抱き、家業に入りました。

 当時、今野梱包は木製パレットを製造していましたが、特定の1社との取引がほとんどを占めている状況。事業の将来に対し危機感を持っていました。後継ぎとして自分は何をやるべきかを考え、図書館で国内の製造業の企業データを閲覧していた時、トライウォールというアメリカで開発された強化段ボールに出あいました。

 強度や耐水性の高さに将来性を見出した今野さんは、億単位の先行投資で工場を建設。トライウォールを扱う日本の法人に猛アプローチしました。

 「変なやつがきたと思ってもらえたら、少なくとも相手の印象には残る。こちらの本気を見せないと」。その甲斐あって、今野梱包は東北初のトライウォール代理店の座を掴み取りました。

 当初、先代社長の父親は事業に反対しました。しかし「会社には迷惑をかけない」と、今野さんは個人で奮闘し工場を建てたのです。代理店契約を結んだことを父親に伝えたところ、工場を増築し、会社としても事業を推し進めることになりました。今野さんは「結果を出したことで、言葉にはせずとも、心の中で後継ぎとして認めてくれたのかな」と振り返ります。

今野さんは家業の将来に危機感を持ち、新事業の立ち上げに奔走しました

強化段ボール製バッグで営業に

 市場開拓はゼロからのスタートでした。今野さんは、強化段ボールでオリジナルの加工製品を作って売り込もうと、東北の製造業を片っ端からまわって営業しました。「とにかく興味を持ってもらうために、営業で持ち歩くバッグを強化段ボールで作りました。絶対一度は見るでしょ?そこから話を始めたら、話を聞いてくれる方が増えていきました」

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