技術者の後継ぎ5人が集う

 「NEXT5」は、いずれも秋田県にある山本酒造店(代表銘柄・山本)、栗林酒造店(春霞)、新政酒造(新政)、秋田醸造(ゆきの美人)、福禄寿酒造(一白水成)の後継ぎが結成しました。

「NEXT5」を立ち上げた後継ぎ5人=船橋陽馬(根子写真館)撮影
「NEXT5」を立ち上げた後継ぎ5人。左から山本さん、栗林さん、秋田醸造の小林忠彦さん、佐藤さん、福禄寿酒造の渡辺康衛さん=船橋陽馬(根子写真館)さん撮影

 日本酒は長らく蔵元が経営を担い、製造は外部から呼んだ杜氏が責任を持つのが主流でした。しかし、近年は杜氏の高齢化や技術革新、設備投資が進んだことなどで、蔵元自身が杜氏として製造を担うケースが増えてきました。NEXT5の後継ぎも経歴はバラバラですが、ちょうど同じようなタイミングで、自ら酒造りに乗り出していました。

 山本酒造店社長の山本友文さんが広島県の蔵元集団に触発されて、各蔵に呼びかけ、2010年にNEXT5を結成しました。「蔵元の集まりで会っても、あくまで経営者として話をしていましたが、5人は技術者として踏み出しました。今までどの酒蔵もみんな自分の酒造りがベストと思い込んでいましたが、決して閉じこもってはいけない。立ち上げ当初から互いに技を教え合いました」

NEXT5のメンバーは、都内の作業場でケーキ作りを体験しました

共同醸造を10年間続ける

 定期的に集まって各蔵の酒を批評し合って切磋琢磨し、消費者向けのイベントを開いて、秋田の酒の知名度を広めました。毎年、当番の蔵を決めて、工程を分担して酒造りをして一つの商品を送り出すのが大きな特徴です。

 栗林酒造店の蔵元・栗林直章さんは「代々続く酒蔵は、製造方法を継承するイメージがあります。しかし今はお酒がうまく造れない、売れない時代。NEXT5で刺激を受け、守るという発想から外れて変わっていくことで、結果につながっていきました」

 酒蔵の単発コラボではなく、NEXT5のように10年間も活動を続けているのは異例で、多くのメディアでも取り上げられました。5年前からは他分野のアーティストらとのコラボ商品も送り出しています。2年前には、戦国武将・茶人の古田織部を主人公にした人気歴史漫画「へうげもの」とコラボし、お酒と特製酒器を売り出しました。

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