LINE BOTやビジュアルIVR 自動化が進む顧客サポートの将来
相談窓口の人材確保の難しさに加え、新型コロナウイルス対応で業務の見直しも迫られているカスタマーサポートの分野で、AIを使ったチャットボットやLINE BOT、自動音声応答システムをWEB上で可視化した「ビジュアルIVR」などを活用した自動化が進んでいます。今後の将来性について紹介します。
相談窓口の人材確保の難しさに加え、新型コロナウイルス対応で業務の見直しも迫られているカスタマーサポートの分野で、AIを使ったチャットボットやLINE BOT、自動音声応答システムをWEB上で可視化した「ビジュアルIVR」などを活用した自動化が進んでいます。今後の将来性について紹介します。
これまで商品・サービスなどの問い合わせは直接窓口へ行く、または電話をかけて問い合わせることが一般的で「電話がつながらない、待たされる」といった消費者から不満が出ていました。
一方で、企業側のカスタマーサポートの人材確保も難しくなっています。こうした状況に対応すべく、問い合わせ手段の多様化、24時間対応できるような自動化が進んでいます。
総務省の2018年(平成30年)版の情報通信白書では、次のように説明しています。
様々な企業で業務の自動化や現状の可視化、分析などを目的としてAIの導入が進んでおり、業務が効率化したなどの成果も出てきている。
2018年(平成30年)版の情報通信白書
特に、コールセンター業務など、顧客の問い合わせ対応において、AIによる回答候補の提示やチャットボットなどによる自動応答など、AIによる業務の効率化の取り組みが進んでいる。コールセンターやチャットボットについては、すでに市場として確立しつつある。
実際の現場では、導入までにデータの収集などの準備が必要で、消費者の複雑な問い合わせでは回答の精度が落ちるといった課題もありますが、技術の組み合わせなどで日々改善が進んでいます。
カスタマーサポートに使われているテクノロジーにも様々な分野があります。スタマーサポートの支援サービスをまとめたカオスマップを作成した「モビルス」の石井智宏社長が各分野の技術トレンドを解説します。
チャットボットとは、WEBなどのチャット上での問いかけに対し、自動で応答するプログラムのことです。
チャットボット普及の初期は、問い合わせ内容から最適と考えられる回答を一つ返す「ルールベース型一問一答ボット」と、ディープラーニングなどによる機会学習によって自らデータを学習し推定する「AI型一問一答ボット」がありました。
石井さんはその後の展開について次のように解説しています。
ルールベース型は大変な手間がかかるためAI型が主流になりましたが、AIの対話技術は画像認識や音声認識のAI技術と比べ、まだ技術水準は高くありません。
そのため、回答精度を上げるために聞き返し機能や、シナリオ型ボット(フローチャートのように選択肢のなかから会話を進めていくタイプ)という補完的なボットとの組み合わせ、複数機能を効率的に制御するための管理機能が拡充されていきました。
現在は、多くのチャットボットでAI型とシナリオ型が併用されています。また、チャットが満足に応えられないときの回避策として、有人対応連携も導入されてきました。
2018年ごろからはチャットボットの分野でも、人間が使っている言語をコンピューターに処理させる「自然言語処理」が注目されるようになってきました。
2019年、2020年とすさまじい進化が自然言語処理の領域で生まれてきています。成果はアカデミックな領域に限定されており、まだ実用レベルには至っていない状況ですが、それほど遠くない時期に商用普及も始まるのではないでしょうか。これまでチャットボットはいわゆるFAQの回答にその用途が限定されてきました。しかし、少し先の未来には「書面で規定されている内容」に関しては、その解答能力が人間を超えることになり、サポートにおける人の果たす役割は大きく変わっていくと考えています。
実際に、チャットボットはカスタマーサポートだけでなく、勤怠管理、スケジュール管理、設備や会議室の利用予約といった社内のヘルプデスクの役割を担ったり、部品の在庫確認など企業間取引にも使われたりし始めています。
WEBサイト上のチャットだけでなく、メッセージングアプリに対応したサービスも増えてきています。モバイル端末で、テキストメッセージのチャットや無料通話ができ、月間アクティブユーザー数が8400万人を超えるLINEなど、消費者に広く普及しており、問い合わせをするときに心理的なハードルが低くなります。
企業側から見ても、匿名のやりとりで完結してしまうことの多いWEBサイト上でのチャットと比べ、問い合わせがあった後も消費者とのつながりを維持できます。さらに、企業側から情報配信できるメリットがあります。
ミニアプリなどLINEで利用できるインターフェースも増えてきており、テキスト(チャット)と音声(通話)の垣根もなくなるような仕組みも導入されています。また、インターフェースとしてのLINEアプリの後ろにOCR(画像認識)や生体情報認識などの技術も組み合わされることで、その用途も拡大していくことと考えます。
音声認識技術も進歩し、電話自動応答システム「ボイスボット」がカスタマーサポートの窓口で利用され始めています。問い合わせ内容は自動でテキスト化されるため、その後の対応をする時間の削減にもつながるほか、サービス改善にも生かせるようになっています。
音声認識技術は画像認識と並んでDeep Learningの恩恵を受けやすい領域といわれており、その精度は日々進化していると実感しています。今後の課題は日本語ならではの問題や、利用ユーザー固有の専門用語などの認識への対応であると考えています。
問い合わせの手段が複雑になることで、消費者が迷わないよう、導線設計を簡単に構築できる「ビジュアルIVR」の活用も盛んになってきています。
ビジュアルIVRとは、音声自動応答システム(IVR)の音声ガイダンスをWEBやアプリ上で可視化したシステムのことです。適切な問い合わせ窓口に誘導し、自己解決の促進や迅速な解決を実現するべく、導線設計の見直しとして活用されています。
モビルスが作成したカオスマップに掲載されているサービスを紹介します。
LINE……LINE
Facebook Messenger……Facebook Japan
Microsoft Teams……日本マイクロソフト
Twitter……Twitter Japan
Zoom……Zoom Video Communications, inc.
Skype……日本マイクロソフト
Google Meet……グーグル合同会社
Newme……avatarin
Ory……オリィ研究所
TimeRep……UsideU
AIさくらさん…… ティファナ・ドットコム
Visual IVR……モビルス
VisualMenu……KDDIエボルバ
Hasso……インターコム
モバイルウェブ……NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション
FUJITSU Business Applicaion CRMate モバイル……富士通
ビジュアルIVR「みえなび」……TMJ
Omnis……丸紅情報システムズ
COET……TIS
mobiVoice……モビルス
CallCall……ルーシッド
AIコンシェルジュ……TACT
LINE Ai Call……LINE
BEDORE Voice Conbersation……BEDORE
Terry……Hmcomm
ロボット自動受付……電話放送局
Telmee……ソフトフロントジャパン
IBM Watson(外部リンク:)……日本アイ・ビー・エム
BEDORE(外部リンク:)……BEDORE
LINE BRAIN(外部リンク:)……LINE
OK SKY(外部リンク:)…… 空色
cogmo Attend(外部リンク:)……アイアクト
kuzen(外部リンク:)……コンシェルジュ
CAIWA(外部リンク:)……イクシーズラボ
mobiBot (外部リンク:)……モビルス
QA ENGINE(外部リンク:)……Studio Ousia
Hachidori(外部リンク:)……hachidori
QuickQA(外部リンク:)……エーアイスクエア
VIRTUAL AGENT(外部リンク:)……りらいあデジタル
AI Messenger(外部リンク:)……AI Shift
KARAKURI (外部リンク:)……カラクリ
CHORDSHIP(外部リンク:)……富士通
mobiAgent……モビルス
M-Talk……アルファコム
AI Messenger……AI Shift
Chat Plus……チャットプラス
Chat Dealer……ラクス
Remote Attend……NTTテクノクロス
DEC Support……トランスコスモス
LINE Pay……LINE Pay
GMO……GMOペイメントゲートウェイ
Billing System……ビリングシステム
mobiPay……モビルス
BOTCHAN PAYMENT…… wevnal
Deep Percept for eKYC……Deep Percept
TRUSTDOCK……TRUSTDOCK
Polarify…… ポラリファイ
ProTech ID Checker……ショーケース
DialogOne……デジタル・アドバタイジング・コンソーシアム
livepass Catch……livepass
mobiCast……モビルス
KANAMETO……transcosmos online communications
Zendesk……zendesk
G-NEXT……ジーネクスト
inspirX……バーチャレクス・コンサルティング
UiPath……UiPath
BizRobo!……RPA テクノロジーズ
WinActor……NTTデータ
Automation Anywhere……Automation Anywhere Inc
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