「あなただけのノート」を開発

 「あなただけのノートを1冊からつくれます」。印象的なキャッチコピーを前面に出した「kaku」は、研恒社が運営するサービスです。自分のライフスタイルに合ったノートを1冊500円からデザインして購入でき、用紙は92種類、罫線は141種類から選べます。

 研恒社代表取締役の神崎太一郎さんは、2016年に「kaku」を立ち上げました。印刷物を目の前の顧客に納品するだけでなく、エンドユーザーにどのように使われるかを考える新たなチャレンジの一環でした。

オリジナルノートを設計し購入できるサービス「kaku」のトップページ

 企業パンフレット等の商業印刷をメインに、シンクタンクのアンケートの校正、印刷、回収からデータ入力まで「父親が社長だった時代にはいろいろなことをやっていた」という神崎さん。創業以来、30年以上発行を続けている「ニュー・ポリシー」は、各省庁からの答申・報告などの重要な資料を選別し、体系的にまとめた月刊誌で、今も学術機関などに重宝されています。

 「会社を継いだ当時は売り上げ至上主義で、お客様が指定した部数をそのまま気にせずに印刷していたこともありました。情けないことに、前は納品までが仕事で、納めた製品がその先でどう使われるかを考えていなかったのです」

 しかし、顧客から「印刷物が余った」という話を聞くことが耐えられなかったといいます。「価値のある印刷物は大好きですが、何も考えずに仕事として製品を吐き出すのは、無責任だと思いました」

アイデアの源はオリジナルのお歳暮

 納品後を見据えた製品を考えるために、顧客のビジネスを知ろうと、毎年贈っていたお中元とお歳暮に目を付けました。「それまでは(既製品の)ゼリーやトマトジュース、ビールなどを贈っていましたが、自分たちにしかできないものを作って届けるようにしました」

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