阿寒湖温泉街、復活ッッ「刃牙」や商店街を動かした土産店3代目の熱意
北海道の人気温泉街である阿寒湖もコロナ禍により客足が大幅に落ち込みました。このピンチに地元出身の人気格闘漫画「刃牙」シリーズの作者・板垣恵介さんがサポートを表明しました。始まりは土産店の3代目の若者の熱意でした。公設の産業支援施設・釧路市ビジネスサポートセンター(k-Biz、ケービズ)が紹介します。
北海道の人気温泉街である阿寒湖もコロナ禍により客足が大幅に落ち込みました。このピンチに地元出身の人気格闘漫画「刃牙」シリーズの作者・板垣恵介さんがサポートを表明しました。始まりは土産店の3代目の若者の熱意でした。公設の産業支援施設・釧路市ビジネスサポートセンター(k-Biz、ケービズ)が紹介します。
インバウンドで盛況だった阿寒湖温泉街は、コロナ禍で客足が落ち込みました。商店街では前年比70〜90%ダウンの店舗が続出します。持続化給付金申請事業者は8割を超えました。
阿寒湖温泉地区は周辺の街とは距離があるため、900世帯1700人のほとんどが観光業関連に携わっています。共働き世帯でも、勤め先はともに観光関連産業です。そのため、地区の基幹産業である温泉街の街並みの灯りを消してはならないと、営業を続けていましたが、客足は回復することなく耐える日々が続いていました。
そこに立ち上がったのが、阿寒町商工会青年部湖畔支部長の新妻俊さんです。新妻さんは60年続く老舗お土産店「おみやげにいづま」3代目の36歳。阿寒湖温泉地区で若者は少数派であるため、青年部が街にコミットすることは多くありませんでした。
しかし、新妻さんは例年であれば大勢の観光客でにぎわうゴールデンウィークが人影まばらとなった風景を目にし「観光客の皆様あっての阿寒湖だ」と痛感したといいます。
「この緊急事態に、街の人間全員がやれることをやりきることが必要だ」と感じ、k-Bizを訪れます。
k-Bizでディスカッションをするなかで「若い世代の新妻さん達ならでは」のできることとして、クラウドファンディングによる商店街で利用するクーポン発行を企画します。
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商店街のほとんどの店舗で高齢化が進むなかでも、新妻さんの熱意でなんと全商店が参加することになりました。また、各店舗のページ作成をk-Bizが支援することで、スピーディーな進行が実現しました。
「商店街が一丸となって進めている企画の効果をもっと高めたい」
その方法について引き続きk-Bizで話し合うなかで、地元出身の著名な漫画家である「刃牙」シリーズの作者・板垣恵介さんに協力をおねがいできないかというアイデアが生まれました。漠然と協力を依頼しても多忙かつ著作権が複雑な中、判断がしづらいのでは、と考え、具体的に、クラウドファンディングの返礼品としての「刃牙」の原画をもとにしたクリアファイル作成をお願いするというものでした。
しかし、あまりにビッグネームです。「版権の価値も高いどころじゃなく高い」「虫の良い話と思われるかもしれない」……。実は、これまでも協力のお願いを考えたことはあったのですが恐れ多くて実行に移してきていませんでした。
しかし、商店街が一丸となっている企画は初めてと言っていいくらいで、みんなが期待しています。「お声がけだけはしてみよう」と考え、板垣さんの同級生を通じて、阿寒湖温泉街の現状、これから取り組みたいことを伝えました。後で聞くと、この同級生は「我々の子世代のために力を貸してほしい」と板垣さんに訴えていたそうです。
板垣さんの回答からは、想像以上でした。シリーズの原画を9点、等身大の刃牙フィギュア像、そしてこの企画のための書き下ろしのアイヌ民族の神話に登場する始祖神「アイヌラックル」のオリジナル原画の無償提供が決まりました。
そこで、原画展を開き、さらに板垣さんに阿寒湖に招き、提供して頂いた原画へのサイン会を開くことにしました。
クラウドファンディングは100万円を超え、宿泊プランや物販で経済効果は1000万円以上。阿寒湖エリアの新たなコンテンツの一つになりました。
返礼品をオリジナル刃牙グッズにしたクラウドファンディングは成功し、原画展により宿泊プランも人気となり、大きな効果をあげました。サイン会当日も長蛇の列となり、予定枚数は即日完売しました。
今後も原画を活用してのグッズ展開を承諾いただいており、Tシャツや菓子などのコラボ企画が進行しています。
地方では60、70代が中心の地域は多くあります。しかし、60、70代が若い世代の台頭を望んでないかと言われたら、もちろんですが、そんなことはありません。
今回の阿寒湖の刃牙コラボ企画は、今まで少し遠慮がちだった次世代リーダーがコロナ禍をきっかけに動き出すことで、親世代も協力し、さらには著名人が力を貸してくれ、結果として街をあげた大きな取り組みとなりました。
オリジナル原画及び原画活用許諾という大きな資産も得て、阿寒湖温泉地区の今後の取り組みがさらに期待できます。
釧路市ビジネスサポートセンターk-Bizでは、企業誘致に頼らず地元の中小企業一社一社の業績アップをサポートすることで地域おこしを実現する施設として2018年8月に開設しています。期待の若手経営者が多く台頭する北海道釧路市に今後もご期待ください。
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