アナウンサー試験で「よしら……」

 伊藤は、インターナショナルスクールに通い、上智大学に進む。日本語は苦手、英語の方がうまかった。

 アナウンサーになって大好きな音楽番組をしたいと思った。
 某テレビ局の試験。試験官から、これを読んで、と原稿を渡された。冒頭から漢字だった。とにかく読まなくては。

 「よしら、よしら、よしら……」
 そこで、伊藤は止まってしまった。試験官が怒りはじめる。

 「こんなのも読めないのか!」
 知らないよ。伊藤は、イスを蹴飛ばして面接の場から出た。

 ちなみに、なんて書いてあったかというと、吉良上野介。インターナショナルスクールで忠臣蔵は、教えない。

「おうちが競売にかけられるかも」

 ラジオのDJなどをへて、30歳のとき、アメリカにわたる。宝石の勉強をして、有名ブランドへの就職が内定していた。

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