目次

  1. 社内コミュニケーションが重要な理由
    1. テレワークの拡大
    2. ワーク・ライフ・バランスを重要視
  2. 社内コミュニケーション活性化のメリットと成功事例
    1. 社員のモチベーション向上につながる
    2. 顧客満足度の向上
    3. 売上や利益の改善
  3. おすすめの社内コミュニケーションツール
    1. アナログツール
    2. ファイル共有ツール
    3. タスク管理ツール
  4. 社内コミュニケーションツールを導入時の注意点
    1. 課題と目的を明確にする
    2. 課題を解決する機能は必須

 新型コロナの影響で、社員の働き方が大きく変わりつつあります。また、最近では、社員の流動化が進み会社の一体感を作り上げることが難しくなっています。

 下記のような社会情勢の変化もあり、これから社内コミュニケーションの活性化はますます重要になっていきます。

 働き方改革は、政府主導の肝いり政策の一つで、同一労働同一賃金、時間外労働の上限規制など色々な制度が導入されています。

 働き方改革の手法としては、在宅勤務などのテレワークが推奨されてきました。今回のコロナ禍により、テレワークは今後大きく伸びていくことが予想されています。

 テレワークの拡大は、今までのように対面でのコミュニケーションをとることを難しくしています。社内にいれば顔を合わせて会話できるのに、在宅勤務などであれば、場所や時間での制約があります。

 そのため、今後、社内コミュニケーションを活性化するためには、テレワークなど働き方改革に合ったITツールの導入など新たな施策が求められています。

 働き方改革は、社員の会社に対するモチベーションも変えます。

 今までは終身雇用が前提で、社員が会社の文化や風土に合わせることが求められました。飲みニュケーションへの参加はその最たる例の一つです。

 しかし、人材が流動化していることもあり、プライベートな時間を大切にする社員が増えています。さらに今回の働き方改革では、残業時間の上限規制などワーク・ライフ・バランスを重要視しています。

 こうした社員のモチベーションが変化していく中では、企業文化の醸成や縦横の意思疎通を図るために、コミュニケーションを活性化する施策が求められています。

 社内コミュニケーション活性化の3つのメリットを成功事例を交えながら紹介します。

 会社の中で、縦横、時には斜めのコミュニケーションが活発に行われていれば、社員のモチベーションは高まります。例えば、自分が出した成果を、上司や同僚に‘良くやったね’と認められると社員は達成感を味合うことができます。逆に周囲が無関心だとモチベーションダウンになってしまいます。

 モチベーションアップは、会社への忠誠心アップにつながり、資質の高い社員が成長していきます。自然と離職率が低下し、会社の貴重な内部資源(人財)が充実していきます。

 コミュニケーションが活性化していると、社員間の意思疎通や情報共有がスムーズになります。小売店やサービスでは社員とお客様の関係性が大切です。社員間のコミュニケーションが活性化すると結果的にお客様への接客などサービスが向上し、顧客満足度が向上します。

 老舗旅館の若女将が、iPadを使ったお客様情報の共有化に取り組み、従業員が連携してお客様のニーズに対応することでリピーターが増えた事例もあります。

 一人一人がお互いに褒めあい、改善点を出し合うことで、顧客満足度がさらに向上してくことが期待できます。

 社内コミュニケーションの活性化は売上や利益にも直結します。先の例のように小売りやサービス業では、お客様の満足度が向上すると、固定客層の拡大につながり利益の安定化・拡大につながります。

 製造業でも営業現場と製造現場のコミュニケーションが活性化するとお客様目線の商品開発やマーケティングにつながり、売上や利益の拡大が期待できます。

 ある中小企業では、営業部門が値引き競争の中で仕事を取るために、粗利が出ない売価で受注しているケースがありました。まずは、製造原価や目標利益を共有し、確実に利益の取れる商談しか受注しない方針に変えることで、売上よりも利益を重視する経営スタイルに変身できました。

 コミュニケーションツールは、コミュニケーションを活性化するために色々な機能や種類があります。一つの機能に特化するツール、すべての機能を万遍なくカバーしているツールなど様々です。

 筆者は中小企業診断士として、遠隔での仕事も受けていますが、お客様によってコミュニケーションツールが異なるため、自然と色々なツールを利用しています。

 印象としては、Zoom, ChatworkteamsSlackLineGoogle Workspaceなどがよく利用されています。

 自社で導入する場合は、会社の業種や企業文化などを踏まえて最適なツールの導入を検討しましょう。

 実は、コミュニケーションツールは昔から会社にはあります。回覧板やスケジュールボードなどアナログなツールがその一例です。

事務所の黒板

 最近ではデジタル化が進み、効率的に情報発信や確認ができるようになりました。

 一方で、確実に目を通してもらいたい情報が全社員に共有されているかどうか定かでない状況も発生しがちです。また、コミュニケーションの活性化の基本は対面での会話です。

 そのため、朝礼などで情報やスケジュールを確認することで、社員の体調や精神状態を確認することは、依然として大切です。

掲示板や案内板などアナログなツールの特徴や費用感
アナログなツールの特徴

 コミュニケーションツールの機能の一つにファイル共有機能があります。

 グループで情報を共有する場合、メールでの共有ファイル添付やプリントアウトによる配布などの方法があります。情報が頻繁に更新される場合には、差し替えなどの手間が掛かり、最新版かどうかの確認も必要です。

 コミュニケーションツールのファイル共有機能を使えば、文書、ファイル、フォルダーなどさまざまな情報をドラッグ&ドロップで簡単に共有できます。GoogleドライブDropbox(ドロップボックス)などがファイル共有アプリとして利用されています。

ファイル共有ツールの1つ、Dropboxの特徴
Dropboxの特徴

 タスク管理もコミュニケーションツールの機能の一つです。

 最近では、テレワークが進み、一人一人の仕事の進捗確認が難しくなりました。タスク管理を活用すれば、リモートワークの従業員でも、仕事の指示や進捗確認をオンライン上で完結することができます。

 タスク管理機能を活用することで、タスクの設定、タスク内容の指示、期日設定、完了報告までの一連のプロセスをチーム内で可視化することができるようになります。

 Trello(トレロ)Chatwork(チャットワーク)などがタスク管理ツールアプリとして利用されています。

コミュニケーションツールの一つ、Trelloの特徴
Trelloの特徴

 今では、色々なコミュニケーションツールがあり選択肢も増えています。選択肢が色々あるからこそ、どのツールを導入するのかの判断に注意が必要です。

 一番大事なことは、現状の社内コミュニケーションの課題を把握した上で、課題解決につながるツールを選択することです。

 課題を把握するためには、ありたい姿と現状を比較してその差異をつかむことが効果的です。

 例えば、会議は、長い、資料が多い、決まらないなど色々な課題があります。課題や目的があいまいだとツールを導入しても、どのように活用すべきか社内で混乱が生じてしまいます。

 課題と目的をはっきりさせることで、使われないツールになってしまうリスクを回避することができます。

 社内コミュニケーションの課題を解決するためには、当然のことですが、課題解決に必要な機能があるツールを選択します。

 例えばテレワーク導入のためのWeb会議ツール、プロジェクト管理を効率的に行うためのタスク管理ツールなどです。

 最近では、機能特化したり、バランスよく色々な機能を揃えたりするなど様々なツールがあります。ツールを選択する場合には、課題解決に向けどのような機能が必要になるかを整理しておくことが大切です。