産地と等級をオープンに

――過去のインタビューで「海苔は可能性があるのに、うまく提案できていない」と語っています。海苔にどのような可能性を感じたのでしょうか。

 一般には知られていませんが、海苔には「漁場名」と「等級」があります。「入札」を経て、海苔は生産者から販売者へ売買されるのですが、そこでは海苔の産地と等級が全て開示されてやり取りされています。

 ぬま田海苔では、その産地と等級名を全てオープンにして、そのまま商品のネーミングにしています。お客様にどういう海苔か分かりやすく説明し、安心して買ってもらえるようにするためです。

ネーミングの苗字が漁場名、名前が等級
ネーミングの苗字が漁場名、名前が等級

――単一産地から浮かび上がってくるストーリーを楽しむ、「シングルオリジン」という提案のあり方ですね。

 まさに「海苔のシングルオリジン」です。一般的な海苔屋さんでは「松竹梅」という枠組みの中での提案が多いですが、本当は海苔のひとつひとつに名前とストーリーがあるのでうちはそれを伝えていく。加えて、それぞれの海苔に合う食べ方も「手巻き寿司に合う」「このおつまみに合う」「このチーズに合う」などと提案していけたらと思っています。

 手巻き寿司もわりと当たり前の提案ですよね。さらにモッツァレラチーズと合わせて、ちょっとオリーブオイルをちょっとつけて食べると「イタリア版の磯部もち」のようになるよ、とか。うまみの強い海苔は発酵バターと合わせることでうまみがより持続します、といった具体的提案です。

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