中小企業へのファクタリングを装う違法な貸付に注意 経済産業省などが呼びかけ
「その資金調達、大丈夫ですか?」。ファクタリングを装って貸金業登録のない業者が違法な貸付をしているとして、金融庁や警察庁、経済産業省などが中小企業に注意を呼びかけています。ファクタリングの仕組みや注意点を解説します。
「その資金調達、大丈夫ですか?」。ファクタリングを装って貸金業登録のない業者が違法な貸付をしているとして、金融庁や警察庁、経済産業省などが中小企業に注意を呼びかけています。ファクタリングの仕組みや注意点を解説します。
ファクタリングとは、企業が取引先から代金を受け取る権利(売掛債権)を額面よりも安く譲渡する代わりに、期日の前に現金を受け取ることができる仕組みのことを指します。
たとえば、下の図でファクタリングの仕組みを説明すると、中小企業がA社への100万円分の請求書の買い取りを申し込んだとします。ファクタリング業者はこの申し込んだ企業に対し、即日~数日で現金95万円を振り込みます。後日、請求書の期日を迎え、申し込んだ企業にA社から100万円が振り込まれると、この企業はファクタリング業者に100万円を支払うことになります。
法的には債権の売買(債権譲渡)契約となりますが、事業者向けファクタリングについて、「貸付と同様の機能を有していると思われるようなものは貸金業に該当するおそれがある」と金融庁は説明しています。
中小企業が利用する理由の一つが、インターネットを通じて即日~数日で入金されるという資金調達のスピードにあります。そのほか、金融機関の融資などと比べると審査のハードルは低く、保証人や担保も不要となります。
ただし、法定金利を上回る手数料をとったり、悪質な督促を繰り返したりする業者もおり、すでに逮捕者も出ています。被害も後を絶たないことから金融庁や警察庁などが注意を呼びかけています。
警察によると、逮捕者が出たファクタリングを装った貸付の疑い事例では、企業が取引先から約束の代金を受け取れなかった場合は返済を求めないなどと説明していたのに、期日までに支払いがなかった企業には督促を繰り返し、債権額よりも高額の返済を求めていたことがあったといいます。
このほか、実際は債権を買い取らずに担保にして金を融資していたケースもあるといいます。金融庁は「被害が疑われる事例の特徴」として次のようなケースを紹介しています。
・債権の買取代金が債権額よりかなり低額で高額な手数料が差し引かれる
・契約書に「売買契約」であることが定められていない
・譲渡した債権の回収が売主に委託されており、回収できなかった場合に、売主による債権の買戻しや買主による償還請求が行われる
あやしい業者に関する相談窓口は次の通りです。
資金繰りに関する相談先は、中小企業庁の各地の経済産業局中小企業課があります。
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