輸入小麦の価格、なぜ値上げ?ロシアの侵攻で価格高騰 政府は価格据え置き
2022年4月期の輸入小麦の「政府売渡価格」は、2021年度10月期と比べて17.3%値上げしました。2021年夏の高温・乾燥による米国、カナダ産小麦の不作の影響に加え、ロシアの輸出規制、ウクライナ情勢等の供給懸念が小麦の国際価格の上昇につながったといいます。岸田首相は4月26日の記者会見で、「9月までの間、政府の販売価格を急騰する前の水準に据え置きます」と話しました。
2022年4月期の輸入小麦の「政府売渡価格」は、2021年度10月期と比べて17.3%値上げしました。2021年夏の高温・乾燥による米国、カナダ産小麦の不作の影響に加え、ロシアの輸出規制、ウクライナ情勢等の供給懸念が小麦の国際価格の上昇につながったといいます。岸田首相は4月26日の記者会見で、「9月までの間、政府の販売価格を急騰する前の水準に据え置きます」と話しました。
日本で消費されている小麦粉の約9割は海外から輸入されています。輸入小麦は日本政府が買い付け、国内の製粉会社などに売り渡すしくみです。製粉会社は小麦粉に加工したうえで、パン・麺・菓子などをつくる食品メーカーに卸します。こうして最終的に消費者のもとに届けられます。
輸入小麦の政府売渡価格とは、過去の一定期間の輸入価格の平均値に、いくらかのマージンを上乗せした価格のことです。このマージン分は、政府管理経費や国内産小麦の生産振興対策に充てられています。
輸入小麦の売渡価格は以前、年間を通じて固定価格でしたが、2007年4月からは国際相場の変動の影響を緩和するため、年2回、価格を改定することにし、直近6カ月間の平均買付価格をベースに計算されるようになりました。
日本政府が輸入している外国産小麦は、次の5銘柄です。
2022年4月期の政府売渡価格は、1トンあたり7万2530円で2021年10月期と比べて17.3%の値上げとなりました。この水準は、2008年以来の高水準です。
輸入小麦が大幅に値上げされた理由について、農林水産省は次の3つの理由を説明しています。
農林水産省の試算では、2022年4月期の政府売渡価格の改定が食品の小売価格に与える影響は次の通りです。
ロシアが2022年2月、ウクライナに侵攻したのをきっかけに、アメリカ・シカゴ商品取引所で小麦の先物価格が一時、2012年以来の高値を記録しました。2012年はアメリカでの高温・乾燥による不作が原因でした。
ロシアとウクライナは、日本政府の輸入小麦の銘柄には入っていないものの、いずれも小麦の生産・輸出主要国のため、今後の市場価格に影響が続きそうです。
この状況について、岸田首相は4月26日の記者会見で次のように話しました。「ウクライナ情勢で、国際価格は1割以上、足元で上昇していますが、9月までの間、政府の販売価格を急騰する前の水準に据え置きます。合わせて輸入小麦から国産の米や米粉、国産小麦への切り替えを支援いたします」
国連食糧農業機関の2020年の統計データ「FAO STAT」によると、小麦の主要輸出国は次の通りです。
輸出国 | 輸出量 |
---|---|
ロシア | 3726万7014t |
アメリカ | 2613万1626t |
カナダ | 2611万509t |
フランス | 1979万2597t |
ウクライナ | 1805万5673t |
オーストラリア | 1040万418t |
アルゼンチン | 1019万6931t |
農水省は、専用の相談窓口を設置しました。次のようなことを相談できます。
電話:03-6744-1253(直通)または、農水省のサイト内の問い合わせ窓口で受け付けています。
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