目次

  1. 中小企業デジタル化応援隊とは
  2. 中小企業デジタル化応援隊の不正受給とは
  3. 中小企業デジタル化応援隊の申請を一時停止する理由
  4. 10月19日から事業再開
    1. IT 専門家の登録要件
    2. 今後のスケジュールを延期

 テレワークやECサイトなどのデジタルツールに関心があっても、ノウハウがなく、なかなか導入や定着しない中小企業があります。中小企業デジタル化応援隊とは、デジタル化やIT活用に悩む中小企業の支援のために派遣されるIT専門家のことを指します。

 経産省はこれまで「中小企業デジタル化応援隊」の費用について、1時間あたり最大3500円分を補助してきました。1案件あたりの上限は最長6カ月、1企業の上限は計30万円まででした。

 この中小企業デジタル化応援隊の事業について、ジャパン・ニュース・ネットワーク(JNN)が不正受給の疑いがあることを報じ、経産省が9月15日に新規案件の一時停止を発表しました。中小企業デジタル化応援隊の事業は昨年度に約40億円使われたといいます。

 不正の例として、事務局は次のような例を示しています。

  • 事業の登録のためだけに開業届を出したなど実態がないのにもかかわらず中小企業として登録する
  • 支援を提供する能力を有していないのにIT専門家として登録する
  • 支援時間の水増しや支援内容を偽って報告する
  • 支援を行っていないにも関わらず支援実態を偽った写真で報告する

 不正を指南していると疑われる者から「違法性はない」などと説明を受け、不正に加担してしまった中小企業についても、その行為は不正となるといいます。

 経産省は「不正事案には警察当局とも連携しながら、厳正に対処する」と説明しています。

 一時停止する理由について、経産省は「謝金などの不正受給を未然に防止するため、制度の見直しを行う予定であり、成案が得られるまでの間停止することにした」と説明しています。

 事務局は、IT 専門家の登録要件の厳格化するなど利用規約を改定した上で10月19日から事業を再開すると発表しました。改定された利用規約のポイントを整理しました。

 9月15日以前に、事務局が支援計画の内容を審査のうえ了承し、IT 専門家等・中小企業等間で業務委託契約の締結が完了している案件については、改定後の利用規約は
適用されません。

 ただし、新たな支援計画や相談案件の登録、合意済みの支援計画について契約を行おうとする場合は改定後の利用規約が適用されます。

 中小企業のデジタル化を支援するIT専門家は次の要件を満たすことが求められるようになりました。

  • 中小企業支援法に基づく中小企業診断士
  • 職業能力開発促進法に基づくウェブデザインの職種の技能検定の合格者
  • 情報処理の促進に関する法律に基づく情報処理安全確保支援士
  • 情報処理の促進に関する法律に基づく情報処理技術者試験(システム監査技術者試験、ITサービスマネージャ試験、エンベデットシステムスペシャリスト試験、データベーススペシャリスト試験、ネットワークスペシャリスト試験、プロジェクトマネージャ試験、システムアーキテクト試験、IT ストラテジスト試験、応用情報技術者試験、基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験、IT パスポート試験等)の合格※試験制度発足から全ての試験を対象とする。
  • 技術士法に基づく情報工学部門の技術士又は技術士補
  • IT コーディネータ

 事業を一時停止していたため、登録受付の期限などを延長しました。

イベント 変更前 変更後
IT 専門家等・中小企業等の登録受付期限 9月30日 11月1日
支援計画に関する契約締結の期限 11月30日 12月17日
支援終了及び支援実施報告の期限 12月17日 1月10日
謝金申請の期限 12月24日 1月10日

 支援終了及び支援実施報告の期限については、期限内に完了できるよう、支援終了日を決める必要があります。