目次

  1. DX銘柄とは 「攻めのIT経営銘柄」との違い
  2. DX銘柄の選定の手順
    1. DX認定を取得
    2. 応募アンケートに回答
    3. DX銘柄の選定基準
  3. 選定企業一覧
    1. DXグランプリ2021
    2. DX銘柄2021
    3. DX注目企業2021
    4. コロナ対応部門 選定企業
  4. DX銘柄2022のスケジュール
  5. DX先進企業の特徴とは

 経済産業省によると、DX銘柄とは、東京証券取引所に上場している企業の中から、DXを推進する仕組みや優れたデジタル活用の実績のある企業を、業種ごとに最大1~2社ずつ毎年認定する制度です。

 対象となるのは、東京証券取引所の国内上場企業(一部、二部、マザーズ、JASDAQ)です。目標となる企業モデルを示すことで、ほかの企業経営者の意識変革を促すのが目的です。

 経産省などは2015年から、積極的なIT活用を進めている企業を「攻めのIT経営銘柄」に認定する制度を続けてきましたが、2020年からはDXに焦点を当てて「DX銘柄」に改めました。 

 DX銘柄に選ばれるには、いくつかの手順があります。

 DX銘柄に選定されるためには、先に「DX認定」の取得が必要です。DX認定制度とは、ビジョン策定や戦略づくりなどDX推進の準備が整っている企業を国が認定する制度です。

 DX認定制度の申請方法や必要書類は、情報処理推進機構(IPA)の公式サイトで確認できます。ただし、DX認定までおよそ60日かかるため、早めの準備が必要です。

 DX銘柄の選定材料とするため、経産省などは東京証券取引所の上場会社全社に、アンケート調査を実施しています。アンケートは選択式と記述式があり、調査は専用サイト「DX推進ポータル」で実施します。回答するためには、gBizID(GビズID)アカウントが必須です。

 調査に回答した企業は、DXを積極的に推進する企業として、公表を辞退する場合以外は原則公表されます。

 2021年の応募アンケートの項目は以下の通りでした。

  • 経営ビジョン・ビジネスモデル
  • 戦略
  • 戦略実現のための組織・制度等
  • 戦略実現のためのデジタル技術の活用・情報システム
  • 成果と重要な成果指標の共有
  • ガバナンス

 2021年のDX銘柄の選定基準は次の通りです。

  1. アンケート調査回答・ROEのスコアが一定基準以上であること
  2. 評価委員会において、取組について高い評価を得たこと
  3. 重大な法令違反等がないこと

 経済産業省の公式サイトによると、DX銘柄2021などに選ばれた企業は次の通りです。

 DX銘柄2021選定の企業28社のなかで、特に優れた取り組みだった2社がDXグランプリに選ばれました。

日立製作所(電気機器)【証券コード6501】
SREホールディングス(不動産業)【証券コード2980】

 DX銘柄2021に選ばれたのは次の26社です。

清水建設(建設業)【証券コード:1803】
アサヒグループホールディングス(食料品)【証券コード:2502】
旭化成(化学)【証券コード:3407】
中外製薬(医薬品)【証券コード:4519】
出光興産(石油・石炭製品)【証券コード:5019】
ブリヂストン(ゴム製品)【証券コード:5108】
JFEホールディングス(鉄鋼)【証券コード:5411】
小松製作所(機械)【証券コード:6301】
日本電気(電気機器)【証券コード:6701】
ヤマハ発動機(輸送用機器)【証券コード:7272】
トプコン(精密機器)【証券コード:7732】
凸版印刷(その他製品)【証券コード:7911】
東日本旅客鉄道(陸運業)【証券コード:9020】
SGホールディングス(陸運業)【証券コード:9143】
日本郵船(海運業)【証券コード:9101】
日本航空(空運業)【証券コード:9201】
ソフトバンク(情報・通信業)【証券コード:9434】
トラスコ中山(卸売業)【証券コード:9830】
セブン&アイ・ホールディングス(小売業)【証券コード:3382】
日本瓦斯(小売業)【証券コード:8174】
りそなホールディングス(銀行業)【証券コード:8308】
東海東京フィナンシャル・ホールディングス(証券、商品先物取引業)【証券コード:8616】
MS&ADインシュアランスグループホールディングス(保険業)【証券コード:8725】
東京センチュリー(その他金融業)【証券コード:8439】
GA technologies(不動産業)【証券コード:3491】
ベネッセホールディングス(サービス業)【証券コード:9783】

 「DX銘柄」に選定されていない企業の中から、特に企業価値貢献部分において、注目されるべき取組を実施している企業が、DX注目企業に選ばれました。

日清食品ホールディングス(食料品)【証券コード:2897】
ワコールホールディングス(繊維製品)【証券コード:3591】
ユニ・チャーム(化学)【証券コード:8113】
大日本住友製薬(医薬品)【証券コード:4506】
AGC(ガラス・土石製品)【証券コード:5201】
三菱重工業(機械)【証券コード:7011】
富士通(電気機器)【証券コード:6702】
大阪瓦斯(電気・ガス業)【証券コード:9532】
ANAホールディングス(空運業)【証券コード:9202】
日本電信電話(情報・通信業)【証券コード:9432】
三井物産(卸売業)【証券コード:8031】
住友商事(卸売業)【証券コード:8053】
Hamee(小売業)【証券コード:3134】
三井住友フィナンシャルグループ(銀行業)【証券コード:8316】
大和証券グループ本社(証券、商品先物取引業)【証券コード:8601】
SBIインシュアランスグループ(保険業)【証券コード:7326】
SOMPOホールディングス(保険業)【証券コード:8630】
リコーリース(その他金融業)【証券コード:8566】
三菱地所(不動産業)【証券コード:8802】
ユナイテッド(サービス業)【証券コード:2497】

 DX銘柄2021に応募があった企業の中から、新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応に関して、優れた取組を実施した企業が 「デジタル×コロナ対策企業」 に選ばれています。

製造・物流戦略部門

ヤマトホールディングス(陸運業)【証券コード:9064】
アスクル(小売業)【証券コード:2678】

カスタマーケア部門

資生堂(化学)【証券コード:4911】
コニカミノルタ(電気機器)【証券コード:4902】
東急不動産ホールディングス(不動産業)【証券コード:3289】

業務効率化部門

大和証券グループ本社(証券、商品先物取引業)【証券コード:8601】
東京海上ホールディングス(保険業)【証券コード:8766】

レジリエンス部門

サントリー食品インターナショナル(食料品)【証券コード:2587】
日本電気(電気機器)【証券コード:6701】
アステリア(情報・通信業)【証券コード:3853】
三井不動産(不動産業)【証券コード:8801】

 DX銘柄2022の選定準備が始まりました。事前にDX認定やgBizIDの取得を済ませておいてください。

 具体的なスケジュールは次の通りです。

  • 2021年10月下旬……DX調査2022の調査項目を公表
  • 2021年11月上旬……DX調査の回答フォーマットを公開
  • 2021年12月1~22日……DX調査2022の回答受付期間
  • 2022年5月下旬~6月初旬……DX銘柄2022の選定企業を発表
  • 2022年6月中旬~……DX銘柄2022のフィードバックレポートを発送

 DX調査2022の調査項目は、経産省の公式サイトから確認してください。

 それでは、DXを積極的に進めている企業にはどんな特徴があるのでしょうか。IPAはDX先進企業にヒアリングした結果を「DX先進企業へのヒアリング調査 概要報告書」にまとめました。

 そのなかから特徴をいくつか紹介します。

  • DXの実践に成功しているほとんどの企業の経営者は、デジタル技術によって自分たちのビジネスがどう変革されるのかを理解してビジョンを発信している
  • 普段の業務の中で生まれたアイデアを拾い上げたり、アイデアソンを実施したりするなど、現場社員からアイデアが上がってくる仕掛けを作り、アイデアを拾い上げ、活用するプロセスを構築している
  • 自社のデータと他社のデータなどを組合せることで価値が増幅することもあるため、自組織でどのようなデータが価値を生み出すのかを認識できている
  • DXプロジェクトは、必ず成功するとは限らないので小さく始める
  • 経営、事業、技術の責任者が迅速にDXプロジェクトに資金とリソースを投資する意思決定ができる場がある
  • 多くのDX先進企業では、経営、事業、技術の3つに通じ、リーダシップを発揮できる「八咫烏(やたがらす)人材」が中心となりDXの方向性や開発推進、事業適用を牽引していた