目次

  1. 無料でチャットボットを作成する方法
    1. APIを使って作成する
    2. チャットボット開発フレームワークを使って作成する
    3. チャットボット作成ツールを使って作成する
  2. 無料利用できるチャットボット作成ツール5選
    1. HubSpot
    2. anybot
    3. GoQSmile
    4. ChatPlus
    5. hitobo
  3. 無料チャットボット作成ツールの注意点
  4. チャットボット作成ツールの選び方
  5. チャットボット運用のコツ
    1. シナリオをアップデートする
    2. 有人チャットを併用する
    3. チャットボットのパフォーマンスを測定する 
  6. 成長著しいチャットボット市場、今こそ導入を

 無料でチャットボットの作成方法には、大まかに分けると「APIを使って作成する」「チャットボット開発フレームワークを使って作成する」「チャットボット作成ツールを使って作成する」の3つがあります。

 まずは、それぞれの特徴を詳しくまとめました下表をご覧ください。

APIを使って作成 チャットボット開発フレームワークを使って作成 チャットボット作成ツールを使って作成
クロスプラットフォーム ×
プログラミングスキル ほとんど不要 必要 ほとんど不要
導入コスト ほとんど無料 一部有料 一部有料
設計の自由度 低い 極めて高い 高い
導入のスピード 速い 遅い やや遅い
運用コスト ほとんど無料 一部有料 一部有料
おすすめの企業 FacebookやLINEにチャットボットを直ちに立ち上げたい企業 クロスプラットフォームで高性能チャットボットを立ち上げたい企業 クロスプラットフォームなチャットボットを簡単に立ち上げたい企業

 以下、詳しく説明します。

 SNSなどが提供しているAPI(Application Programming Interface)を使って作成する方法です。

 日本では、Facebook、LINE、Slack、Kikなどがチャットボット用APIを提供しています。

 例えば、Facebookからは「開発者ツール」が提供されていて、自社で開発したアプリやシステムなどと連動させることが可能です。

 APIを使って作成する方法は、比較的簡単に、そしてほとんどのケースで無料でできる点がメリットです。

 一方、使いたいプラットフォームごとにそれぞれ設定する必要があることや、プラットフォームをまたぐ、いわゆるクロスプラットフォームでの運用ができないといったデメリットがあります。

 チャットボット開発フレームワークを使って作成する方法は、文字通りチャットボット開発フレームワークを使う方法です。

 フレームワークとはあらかじめ用意されたプログラムのひな型ですが、フレームワークを使うことでゼロからプログラムを書くことなくチャットボットの作成が可能になります。

 なお、チャットボット開発フレームワークでは、主に以下が人気です。

  • Rasa
  • Wit.ai
  • Botpress
  • BotKit
  • DeepPavlov
  • Microsoft Bot Framework
  • Amazon Lex

 チャットボット開発フレームワークを使って作成するメリットは、自由度が高くスケーラブルなチャットボットの開発が可能なことです。

 また、多くのフレームワークにAI機能が搭載されていて、インテリジェントなチャットボットを開発できる点もメリットです。さらに、クロスプラットフォームでの運用も可能です。

 デメリットとしては、プログラミングやシステム開発の知識とスキルが必要なことと、多くのフレームワークのサポートやマニュアルなどが英語で提供されている点です。一部のフレームワークは有料な点もあげられるでしょう。

 チャットボット作成ツールを使って作成する方法は、最も簡単に作成できる方法です。

 多くのチャットボット作成ツールではプログラミングの知識やスキルは必要なく、画面を見ながら直感的に操作してチャットボットを作成することが可能です。

 しかも、少なくない作成ツールが無料で利用できたり、無料トライアル期間を利用できたりします。本記事でご紹介するのも、主にこのチャットボット作成ツールになります。

 では、無料で利用できるチャットボット作成ツール5選を、ご紹介します。

 なお、スペックなどは2021年9月執筆時点のものを記していますので、実際に利用をご検討の際は、各社のホームページなどで最新の情報をご確認下さい。

 メジャーなCRMシステムのHubspotでは、チャットボット作成ツールが標準で搭載されています。Hubspotユーザーであれば、無料で利用可能です。

 チャットボットに問い合わせに回答させるなど多くのタスクを自動化できます。

 また、有望なリードに対しては、途中でチャットボットから人間の営業担当者へ引き継ぐといったフローも利用できます。

 さらに、チャットボットとユーザーとのやり取りはタイムラインに同期して保存されるため、関係者による共有も可能です。

ツール名 Hubspotチャットボット
提供会社 Hubspot
特徴 ・テンプレートが豊富で、シナリオが作りやすい
・Gmail、Office365、Outlookなどとの連携も可能
・やり取りなどのデータはHubSpot CRMで同期・保存され、関係者で共有可能
利用時の注意点 チャットボット作成ツールの利用はHubspot CRMの利用が前提
おすすめの利用シーン ・自社ウェブサイトに簡単にチャットボットを利用したい
・初めてチャットボットを作成するが、シナリオなどの素材がない
・すでにHubspot CRMを利用している
料金 Hubspot CRMに無料版あり
有料版は月額2,700円(税抜)~
 Hubspotチャットボットの公式サイトはこちら。

 エボラニが開発・提供しているチャットボット作成ツールです。自社のウェブサイトに加え、LINE、Facebookメッセンジャーでの運用が可能です。

 チャットのユーザーインターフェースがカスタマイズ可能で、自社のカラーに合わせることができます。

 出力されたコードをウェブサイトやワードプレスに埋め込むだけで実装できるので、コーディングやプログラミングが一切必要ありません。

ツール名 anybot
提供会社 エボラニ
特徴 ・わかりやすくシンプルなユーザーインターフェースで、簡単にチャットボットが作成できる
・チャットのユーザーインターフェースがカスタマイズ可能
・コメントだけでなく、複数選択や日程選択などを提示できる
利用時の注意点 マシンラーニングなどのAI機能は利用できない
おすすめの利用シーン ・LINEやFacebookメッセンジャーを主なチャットボットのプラットフォームとして利用したい
・社内にコーディングやプログラミングがわかるスタッフがいない
料金 有料版は個別見積り
 anybotの公式サイトはこちら。

 GoQSystemが開発・提供しているチャットボット作成ツールです。

 自社ウェブサイト、LINE、Facebookメッセンジャーに加え、Yahoo!、au PAY マーケット、MakeShop、futureshop、EC-CUBEなどのECサイトでの運用も可能です。

 ワードプレスのプラグインにも対応しており、ワードプレスユーザーには打ってつけです。

 単純なチャットに加え、チャットしながらおすすめ商品を提案したり特集ページへ誘導するといった使い方も可能です。

ツール名 GoQSmile
提供会社 GoQSystem
特徴 ・Yahoo!、au PAY マーケット、MakeShop、futureshop、EC-CUBEなどのECサイトでの運用が可能
・ワードプレスのプラグインにも対応している
・ウェブサイトではポップアップ型とページ埋め込み型が選択できる
利用時の注意点 ・無料期間制限あり(20日間)
・マシンラーニングなどのAI機能は利用できない
おすすめの利用シーン ・実際にYahoo!やau PAY マーケットなどのECサイトでショップを運営している
・自社ウェブサイトをワードプレスで運営している
料金 有料版は月額10,000円(税別)~
 GoQSmileの公式サイトはこちら。

 チャットプラスが開発・提供している、導入企業10,000社超のチャットボット作成ツールです。

 テンプレートが多く用意されていて、社内にシナリオがないといった場合でもスムースな導入ができます。

 テンプレートは「不動産」「EC小売」「学校」など、業界ごとに豊富に提供されています。

 無料期間に制限(10日間)がありますが、有料版でも月額1,500円からと低コストで運用ができるのも魅力です。

ツール名 ChatPlus
提供会社 チャットプラス
特徴 ・業界に応じたテンプレートが豊富に提供されている
・サポートが充実していて、スムースな導入が可能
・月額1,500円からと、低コストでの運用が可能
・有人チャットの併用も可能
利用時の注意点 ・無料期間制限あり(10日間)
・Hubspotなどの外部システムとの連動については、APIなどの知識が必要
おすすめの利用シーン ・無料期間制限あり(10日間)
・Hubspotなどの外部システムとの連動については、APIなどの知識が必要
料金 有料版は月額1,500円(税別)~
 ChatPlusの公式サイトはこちら。

 アディッシュが開発・提供しているチャットボット作成ツールです。

 操作画面上でFAQに入力するか、FAQをCSVファイルでアップロードするだけでシナリオが生成され、チャットボットが運用できます。

 また、表現揺れにも対応しているので、シナリオに厳密に適合しないチャットでも対応可能です。

ツール名 hitobo
提供会社 アディッシュ
特徴 ・操作画面上でFAQに入力するか、FAQをCSVファイルでアップロードするだけでシナリオが生成される
・表現揺れにも対応しており、ルール破綻が発生しづらい
・有人チャットの併用も可能
利用時の注意点 ・無料期間制限あり(30日間)
・マシンラーニングなどのAI機能は利用できない
おすすめの利用シーン ・比較的迅速にチャットボットの運用を開始したい
・社内にFAQ作成のためのリソースがある
・有人チャットを併用したい
料金 有料版は個別見積り
 hitoboの公式サイトはこちら。

 今見てきたように、チャットボット作成ツールを無料で利用しようとすると、20日お試し期間といった時間の制約、できないことがあるといった機能の制約があります。

 無料利用できるというのは、あくまで「無料で利用できないわけではない」ということです。

 ビジネスの現場でチャットボットツール作成ツールを利用したいのであれば、基本的にはコストがかかることを念頭に置いておきましょう。

 では無料以外のチャットボット作成ツールの中から、どのように自社に最適なものを選べばいいでしょうか。以下にポイントを挙げます。

  • 運用できるプラットフォームは何か
  • どんな外部システムと連携できるか
  • ルールベース型かAI型か

 チャットボット作成ツールは、運用できるプラットフォームや連携できる外部システムの種類に差があります。この2点は必ず見ておかないと、チャットボットの導入メリットが薄れてしまいます。

 また、チャットボットは大まかにルールベース型とAI型に二分されます。

 ルールベース型はあらかじめシナリオを作り、それに従ってチャットボットにチャットさせる仕組みです。一方、AI型はマシンラーニングなどで自己完結的に「学習」するタイプです。

 チャットボットにある程度高度なチャットをさせようという場合、ルールベース型では対応できない可能性があります。

 最後に、チャットボット作成ツールでチャットボットをうまく運用するコツをご紹介します。

 特にルールベース型のチャットボットを運用する場合、シナリオをアップデートすることが重要なポイントです。

 実際のやりとりなどを参照して、シナリオの内容をブラッシュアップし、精度を高めてゆく必要があります。

 いくら精密できめの細かいシナリオを用意したとしても、またどんなに高性能なAIを使ったとしても、チャットボットに100%完璧な対応をさせることは不可能です。

 特に個人情報などのセンシティブな情報を扱う場合などにおいては、必要に応じて人のオペレーターが対応するなど、有人チャットを併用すべきでしょう。

 チャットボットを導入・運用する際には何らかの目的があるはずです。

 例えば、チャットボットにカスタマーサポートをさせるといった場合、チャットの受付件数、問い合わせ件数、ユーザー満足度などのKPI(Key Performance Indicator)を設定し、測定しましょう。

 恒常的にKPIの向上を目指すことが、チャットボットそのものを最適化することにつながります。

 米国の調査会社によると、全世界のチャットボット市場は今後年率28.7%の成長率で成長を続け、2027年までに19億5700万ドル(約2152億円)規模に拡大するそうです。参考:Global Chatbot Market to Gain $19,570 Million by 2027 and Surge with 28.7% CAGR in the 2020-2027 Timeframe - Exclusive Report [241 pages] by Research Dive│Intrado GlobeNewswire

 チャットボットというテクノロジーの波に乗るには、今のタイミングがいいと言って良さそうです。

 チャットボットを導入し、進化させ、結果的に顧客満足度と社員満足度の両方を向上させる。そんな未来が見えたらいいですね。