目次

  1. 下請け体質の打破を目指して
  2. 若手の提案にがっかりした理由
  3. 邪魔者からジャストミートの営業へ
  4. 「だまされてみよう」と決断
  5. 名刺登録にポイント制を導入
  6. 新規顧客からの問い合わせが増加
  7. 資材屋からソリューション企業へ
  8. 3カ年計画の柱にDX
  9. 包装技術がSDGsに
  10. 社長が社員の応援団に

 DXの推進が叫ばれて久しいですが、多くの企業はどのように自社の成長に活用すればいいのか手探りです。そんな中、トヨコンは2017年から営業DXに取り組み、年間10件程度だった新規の問い合わせが、20年以降は年間100件以上に増えています。今後3年間の中期ビジョンを「ステークホルダーとDXでつながる」と定め、本格的にDXを進める方針です。

トヨコンの前身「豊川梱包工業」の旧社屋

 同社は1963年に創業。当時は大手精密機械メーカーの工場で、製品の梱包作業を担う下請け業でした。梱包作業や包装資材の設計と調達、配送を手がけて成長し、各作業の機能を強化した子会社もつくりました。しかし、90年代後半、大口の顧客が海外に製造機能を移し、1社依存度の高かったトヨコンは、新たな顧客開拓を迫られたのです。

 現社長の明石耕作さん(56)は03年、父で創業者の忠男さんの後を継ぎ、38歳で社長に就任。下請け体質の脱却を目指し、社内改革を進めました。06年から始めた新卒採用もその一つです。

DXを進めたトヨコンの2代目社長・明石耕作さん

 創業50周年を迎えた14年、明石さんはグループ3社を統合。包装資材の設計から配送まで一気通貫で提案できる仕組みを整え、強みにしようと考えました。しかし、統合効果はなかなか出ません。

 明石さんは翌15年、30歳前後の若手15人を集めてマーケティングの勉強会を始めました。「どんな事業でもいい。3社の強みを生かした新規ビジネスを経営会議で提案してほしい」と求め、一つのチームから提案されたのが、マーケティングオートメーション(MA)を活用した営業手法でした。

トヨコンの基幹事業である包装設計

 この提案に、明石さんはじめ役員はがっかりしたといいます。なぜなら、MAはマーケティング施策をデジタルで仕組み化した営業の業務改善のことで、新規ビジネスではないからです。しかし、明石さんは考えを改め、その決断が、同社を大きく変えることになります。2代目を心変わりさせたのは、何だったのでしょうか。

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