目次

  1. 大量生産・大量廃棄への危機感
  2. ビアガーデンで仲間に相談
  3. 現地で痛感したハードルの高さ
  4. ヒットの裏に地道な営業
  5. 新会社を立ち上げた理由
  6. 家業の社会的信頼が強みに 
  7. DXで加速させるSDGs
  8. 共感が生まれ、購入率は50%に
  9. ベンチャーの経験を家業にも

 深井さんがCEOを務めるベンチャー企業「KAPOK JAPAN」が東京・日本橋に開いたショールームには、カポックを中綿に使った衣料品がずらりと並びます。

 「KAPOK KNOT」というブランド名で、コート、ジャケット、マフラー、シャツなど20商品をそろえ、価格帯は9千円〜5万8千円です。たった5ミリの薄さで軽さ、柔らかさを兼ね備えながら、羽毛ダウンのように保温性にも優れているのが特徴です。

日本橋に構えたショールーム(KAPOK JAPAN提供)

 深井さんの家業の双葉商事は1947年に創業。父が3代目社長を務め、アパレルブランドのOEM(相手先ブランドによる生産)を主力にしています。現在の従業員数は20人ほどです。

 深井さんは子どものころから後継ぎになることを意識し、NPO法人に所属したり、大学でソーシャルビジネスを学んだりしました。卒業後は不動産ベンチャーを経て、旭化成に入社しました。

 カポックを知ったのは旭化成時代に資格の勉強をしていたときでした。2017年に家業に入り、カポックを使ったアパレルブランドを立ち上げようと思った背景には、大量生産・大量廃棄というアパレル業界が抱える課題への危機感がありました。

 「ファストファッションの隆盛で、ファッション性と機能性を兼ね備えた安い商品が生まれました。ただ、アパレルに限らず、商品がすぐに消費されて捨てられることに違和感がありました」

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