i Smart Technologiesがグランプリ 中小企業SDGs ACTION! AWARDS
杉本崇
(最終更新:)
中小企業がSDGsの達成を目指したDXの取り組みやアイデアを発表するコンテスト「中小企業SDGs ACTION! AWARDS」(朝日新聞社総合プロデュース本部主催、テクニカルパートナーChrome OS デバイス Chromebook)の最終選考会が2月19日、開かれました。グランプリに「i Smart Technologies」が選ばれました。IoTサービスを通じて、中小製造業のカイゼン活動を支援し、カーボンニュートラルに貢献している点が高く評価されました。
グランプリはi Smart Technologies
グランプリに選ばれたのは、「i Smart Technologies」(愛知県碧南市、木村哲也社長)です。トヨタの1次仕入先である「旭鉄工」で、IoTモニタリングサービスiXacs(アイザックス)を使ったカイゼン活動で年間4億円以上の労務費と9%の電力使用量を削減しました。
このノウハウを他社に展開するため設立されたのが、i Smart Technologiesです。そんなiXacsに、電力使用量とガスの使用量を自動計測しCO2排出量の95%をリアルタイムで可視化するという、カーボンニュートラル実現に役立つ機能が追加されました。
審査員で、中小企業基盤整備機構の押田誠一郎経営支援部長は「企業の利益改善にもカーボンニュートラルにも貢献しているという実績だけでなく、IoTによるカイゼン活動に社員のみなさんが自発的に参加しているところが印象的でした」と評価しました。
iXacsは、すでに多くの企業に導入されているサービスです。木村さんは「日本の会社の生産性向上とカーボンニュートラル推進を進められるよう努力していきます」と話しました。
準グランプリはKAPOK JAPAN
準グランプリに選ばれたのは、KAPOK JAPAN(大阪府、深井喜翔社長)です。インドネシアの植物「カポック」の木の実由来の素材を中綿に使用したサステナブルジャケットを製造・販売するアパレルブランド「KAPOK KNOT」を立ち上げました。
大量製造・大量廃棄というアパレル業界の社会課題に対応するため、クラウドファンディングを活用して受注生産をすることにしました。すると、3年間で5000万円近くの購入支援が集まりました。
審査員で、船井総合研究所の真貝大介社長は「世界的にもエシカルなブランドがあるが、日本発の可能性を感じさせる取り組みです。ブレイクスルーが楽しみです」と講評。
創業75年のアパレルメーカー双葉商事の4代目でもある深井さんは「私は後継ぎでありながら、KAPOK JAPANというスタートアップに挑戦しています。これは、日本のものづくりの新しい形になるのではないでしょうか。新たな事業継承の形として発信していきたいと考えています」と、今後の抱負を述べました。
DX特別賞はケイ・システム
DX特別賞に選ばれたのは「ケイ・システム」(神奈川県、小島啓義代表取締役)です。創業前は産業廃棄物処理会社に勤務していた小島さん。そのときに感じた課題をもとに、企業からでる廃棄物をIoTで自動計量し、クラウド上へデータ連携ができるシステム「企業の体重計」を開発しました。
廃棄物のデータは、行政報告にしか使われないケースも多いといいます。今後は、こうしたシステムを通じて排出する廃棄物のデータ化・可視化を進め、廃棄物量削減やリサイクル率向上といった取り組みにつなげていくことを目指しています。
審査員でオンライン直売所「食べチョク」を運営するビビッドガーデンの秋元里奈社長は「廃棄物業界のDXを進めていく意義の大きさ、なかでもDX化のハードルが高いと想像される中小企業への導入を、試行錯誤をしながら押し進めているところがすばらしいなと評価しました」と話しました。
これに対し、小島さんは「まだまだ発展途上のビジネスです。これからも開発して、挑戦し続けたいです」と意気込みを語りました。
受賞3社の紹介予定
受賞3社の取り組みについては、後日、朝日新聞紙面のほか、中小企業向けWebメディア「ツギノジダイ」でも紹介する予定です。
最終選考に残った企業とその取り組み
そのほか、受賞は逃したものの、最終選考まで残り、取り組みが高く評価された企業は次の通りです。
- On-Co……逆転の発想 潜在する空き家を借り手が発掘「さかさま不動産」
- エクセルイン……清掃会社とIT会社を持つホテル経営者が施設管理アプリを開発
- Creato……スマホで遊漁券が買える「つりチケ」による持続的な河川環境保全と地域活性
- 京南……ドライブスルー洗車DXの定額洗い放題がもたらすガソリンスタンド改革
主催・後援・協力
主催:朝日新聞社総合プロデュース本部
後援:外務省、中小企業庁、デジタル庁、(独)国際協力機構、(独)中小企業基盤整備機構(順不同)
テクニカルパートナー:Chrome OS デバイス Chromebook
協力:跡取会、家業イノベーション・ラボ、家業エイド、グロービス経営大学院、日本跡取り娘共育協会、(一社)ベンチャー型事業承継、ロフトワーク、2代目お坊ちゃん社長の会、SDGs 17 Club
メディアパートナー:ツギノジダイ、SDGs ACTION!
経営者に役立つメルマガを配信 無料会員登録はこちら
この記事を書いた人
-
杉本崇
ツギノジダイ編集長
1980年、大阪府東大阪市生まれ。2004年朝日新聞社に記者として入社。医療や災害、科学技術・AI、環境分野、エネルギーを中心に取材。町工場の工場長を父に持ち、ライフワークとして数々の中小企業も取材を続けてきた。
杉本崇の記事を読む