目次

  1. 企業が負う従業員への「安全配慮義務」
  2. 停電が起こったときの企業の困りごととは
  3. 企業の停電対策
    1. バッテリー・電池
    2. 食料・飲料水
    3. ラジオなどの情報源
    4. 照明

 労働契約法第5条には「労働者の安全への配慮」が次のように規定されています。

第5条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

厚生労働省の公式サイト

 この従業員に対する安全配慮義務には、労災や過重労働だけでなく、自然災害時にも当てはまると解釈できます。BCP(事業継続計画)の観点からは、従業員の安否確認が必要になります。

 北海道銀行などは2018年9月に最大震度7を記録し、大規模停電が起きた「北海道胆振東部地震」を踏まえたBCP(事業継続計画)に関する郵送アンケート(PDF方式)を約500社に実施し、269件の回答を得ました。

 地震で特に苦労した点を尋ねた質問に対し、回答の割合が多かった項目を紹介します(複数回答可)。 

営業・稼動できない……20%
通信の確保……13%
原料・在庫の廃棄……10%
停電でパソコンが使用できない……8%
職員の安否確認……7%
顧客との連絡……7%
非常用発電や車の燃料の確保……6%
災害情報の収集……4%
サプライチェーン……4%
断水……3%
職員の出社……3%

 そのほか、会社で停電が起こると、次のようなトラブルも考えられます。

  • 高いビルでは水を供給するポンプが停止し水道だけでなくトイレや給湯設備も使えなくなる場合がある
  • 一部を除き固定電話やIP電話は使えなくなる(総務省の公式サイト参照
  • エレベーターや電子錠、指紋照合装置などが使えなくなる場合がある
  • UPS(無停電電源装置)やバッテリーのない電子機器が使えなくなりデータが失われる場合も
  • 空調・換気設備が使えなくなる
  • 携帯電話の基地局も使えなくなる場合がある

 こうした課題に対し、企業があらかじめ準備できる停電対策につながる備品の例を紹介します。

  1. 電池・バッテリー
  2. 食料・飲料水
  3. テレビ・ラジオなどの情報源
  4. 照明

 重要なデータを扱う電子機器類には無停電電源装置(NPS)を用意しておきましょう。大切な情報の場合はバックアップを取っておくことも大切です。

 パソコンも電力供給が必要なデスクトップ型だけにせず、バッテリー稼働ができるノート型なども備えておきましょう。

 電子機器を続けて使う必要があるのであれば、発電機も選択肢の一つです。ただ、屋内で使うと一酸化炭素中毒などの原因になる場合もあります。使い方はあらかじめきちんと確認しておきましょう。

 また、連絡を取り合うためのスマートフォンを充電できるモバイルバッテリーがあると安心です。

 たとえば、東京都帰宅困難者対策条例では、事業主に対し、従業員の3日分の食料などの備蓄の努力義務を課しています。事業所のある自治体に同じような規定がないか調べてみてください。

 一人が1日に必要な量を把握するには、東京都の特集ページ「東京備蓄ナビ」が参考になるでしょう。

 停電が続けばインターネットも使えなくなることがあります。情報源としてラジオが聞ける機器と電池を用意しておきましょう。

 停電が続けば、照明が必要になります。手の届きやすい場所に懐中電灯を備えておきましょう。