目次

  1. 特定求職者雇用開発助成金とは
  2. 成長分野人材確保・育成コースとは 支給額は1.5倍
  3. 中小企業の場合の支給額
  4. 支給要件
    1. 成長分野等の業務のデジタル・DX業務の例
    2. グリーン・カーボンニュートラル業務の例
  5. 申請の流れ

 厚労省の公式サイトによると、特定求職者雇用開発助成金とは、就職が難しい高年齢者や障害者、就職氷河期世代などの雇用機会を増やすため、ハローワークなどの紹介により、継続して雇用する労働者として雇い入れる事業主に対して助成する制度のことです。

 これまでに下記のようなコースがあります。

  • 特定就職困難者コース……高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母、障害者
  • 生涯現役コース……65歳以上の離職者
  • 被災者雇用開発コース……東日本大震災による被災離職者
  • 就職氷河期世代安定雇用実現コース……正規雇用の機会を逃した等により十分なキャリア形成がなされなかった就職困難者

 4月1日から「成長分野人材確保・育成コース」が新設されました。

 成長分野人材確保・育成コースとは、事業主が、デジタル・グリーン分野やその関連分野の業務に対象となる労働者として継続して雇い入れ、人材育成や職場定着に取り組む場合、支給額が既存のコースの1.5倍となる新コースです。

 支給要件が細かく決められているので、申請前に成長分野人材確保・育成コースの支給要領(PDF方式)を確認しておきましょう。

 成長分野人材確保・育成コースの要件は満たさず、これまでのコースの要件に当てはまる場合は、これまでのコースの助成額が支給されます。

 支給額が、対象となる労働者一人あたり45万~360万円です。2~6回に分けて支給します。中小企業の場合の既存コースと比較した新コースの支給額は次の通りです。

対象労働者 既存コースの支給額 新コースの支給額
高年齢者(60歳~65歳)
母子家庭の母等
生活保護受給者など
30万円×2期 45万円×2期
就職氷河期世代不安定雇用者 30万円×2期 45万円×2期
65歳以上の高年齢者 35万円×2期 52.5万円×2期
身体・知的障害者・発達障害者、難治性疾患患者 30万円×4期 45万円×4期
重度障害者等(重度障害者・45歳以上の障害者・精神障害者) 40万円×6期 60万円×6期

※助成金額が賃金総額を超える場合は賃金総額が上限となります。短時間労働者( 1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の労働者)の場合は支給額が少なくなります。

  1. 対象労働者種別に応じた特定求職者雇用開発助成金の他のコースの支給要件をすべて満たす
  2. 対象労働者を「成長分野等の業務」に従事させる
  3. 対象労働者に対して、雇用管理改善または職業能力開発にかかる取組を行う
  4. 2と3に関すること等について記載した計画書及び報告書を提出する

 このうち、とくに成長分野等の業務には注意が必要です。

 対象となる労働者に、デジタル、DX化やグリーン、カーボンニュートラル化に資する業務をしてもらう必要があります。

 デジタル等の製品や技術を新たに生み出すために直接必要な業務や、デジタル化等の拡大に資するものと評価できる業務は該当しますが、次の業務は「該当しない」と判断されるので注意してください。

  • デジタル製品を使用した事務業務
  • デジタル製品や技術を扱う会社の警備・清掃業務
  • 電気自動車を利用した配送業務

 成長分野等の業務かどうかは、計画書と報告書から判断されます。そのため、計画書や報告書に、デジタル、DX化、グリーン、カーボンニュートラル化が主たる業務であることがわかるように書いてください。

ソフトウェア・アプリの設計開発業務
ネットワークの設定・デジタル機器の運用保守業務
自社デジタル製品の営業販売業務
自社業務のDX化業務

次世代太陽光電池の技術開発業務
バイオマス素材製品の製造業務
ZEHの建設業務
電気自動車の販売業務

 事業所の所在地を管轄する労働局またはハローワークで支給申請をしてください。支給申請期間は、各支給対象期の末日の翌日から2カ月以内です。
申請のおもな流れは次の通りです。

  1. ハローワーク等からの紹介
  2. 対象者の雇い入れ
  3. 計画書の提出
  4. 助成金の支給申請
  5. 支給申請書の内容調査・確認
  6. 支給・不支給の決定
  7. 助成金の支給

 申請に必要な書類は、厚労省の公式サイトからダウンロードできます。