【6月18日は何の日】34年前、リクルート事件が発覚
「実は10年前のきょう…」「きょうはこんな日なんですけど…」。取引先との雑談や、プレゼンの冒頭、社内の朝礼など、日々のビジネスシーンでのちょっとした会話のきっかけになる話題の“タネ”を紹介します。
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34年前の1988年6月18日、政界を巻き込んだ汚職事件に発展する「リクルート事件」が発覚しました。
この日、朝日新聞が朝刊社会面(東京本社版)で、川崎市助役が、不動産業の「リクルートコスモス」の未公開株で1億円の売却益を得ていたと報じました。
リクルートコスモスは、リクルート(現リクルートホールディングス)の関連会社でした。
別のリクルートの関連会社から融資を受け、自己資金をいっさい使わずに未公開株を購入、売却していたというものでした。
当時の朝日新聞の見出しは「『リクルート』川崎市誘致時、助役が関連株取得/公開で売却益1億円 用地払い下げ、市長名で要請」でした。
この事件はその後、政界中枢に飛び火しました。
政治家や官僚らにもこの未公開株を配っていた疑惑が浮上したのです。
中曽根康弘前首相、安倍晋太郎自民党幹事長、宮沢喜一蔵相ら有力政治家の名前が浮かびました。
国会での追及も強まるなか、野党議員が、リクルートコスモス社長室長から追及に手心を加えてくれと現金贈与の工作を受けたと発表し、関係者を東京地検に告発。
東京地検特捜部は、藤波孝生元官房長官ら政治家2人を含む計12人を贈収賄罪などで起訴しました。
この事件では、政治家や官僚、企業経営者ら計70人以上に未公開株を渡していたことが判明。
当時の竹下登首相は、「政治不信を招いた」として、翌年の1989年に退陣に追い込まれました。
リクルート創業者の江副浩正さん(故人)も1989年2月に贈賄容疑で逮捕され、13年を超える裁判の末、2003年3月に執行猶予付きの懲役3年の刑が確定しました。
江副さんは、就職や結婚、住まいなど幅広い情報を手がける「リクルート」を一代で築き上げた起業家でした。
江副さんが亡くなった2013年の朝日新聞記事では、「新しい事業を起こす際、若い人でもアイデアがあれば抜擢した。利益を生むと見込んだ事業には惜しまず投資した」と伝えています。
晩年は、財団法人「江副育英会」(現在は公益財団法人江副記念リクルート財団)理事長として、文化の発展や若者たちの育成を支えていました。
国会議員や官僚、財界人であるという理由で、多額の配当や売却益が期待できる株を譲渡されることは不公正です。
リクルート事件は、「政治とカネ」の問題を改めて国民が考えるきっかけとなりました。
社会の公器としての企業はどうあるべきか、社会とどうかかわっていくべきなのか、過去を知り、働く私たちひとりひとりが教訓として考えていきたいですね。
(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年6月18日に公開した記事を転載しました)
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