87年前の1935年6月20日、富士通の前身である富士通信機製造が設立されました。

この日、富士通信機製造は、現在の富士電機である、富士電機製造から分離独立。

通信機器メーカーとして歩み始めました。 

 

富士通信機製造は戦後、電話設備の復旧事業にあたり、急速に成長。

1954年、電話交換機で使われていた「リレー」を応用したコンピューターの開発に日本で初めて成功しました。

1967年6月には、略称で使われていた「富士通」が正式な社名となりました。 

 

その後、国内首位のコンピューターメーカーとして一時代を築きます。

1968年に発表した大型汎用コンピューター「FACOM230-60」は、オンラインデータ処理機能が強化され、ベストセラーになったといいます。 

組み立てが終わって点検テストをする富士通の「FACOM230-60」=1971年2月、川崎市、朝日新聞社

1981年5月には個人向けパソコン(PC)である「FM-8」を発表しましたが、個人向けではしばらく苦戦したようです。

2009年の朝日新聞記事では「起死回生を図り、1993年に発表したのが『FMVシリーズ』だ。当時、国内シェアの半分がNECで、富士通はわずか7%弱」と伝えています。 

富士通が64キロ・ビットのLSIを世界で初めて使ったパーソナルコンピューター「FM-8」=1981年5月1日、朝日新聞社

PC事業をめぐっては、その後、富士通やNEC、東芝、ソニーなど、日本のメーカーがしのぎを削り、成長してきました。

ただ、台数ベースの世界シェアでは現在、中国のレノボ、アメリカのHPやデルの3強が圧倒しています。 

富士通のノートパソコン「LIFEBOOK」シリーズの最新モデル「UH75/B1」=2017年1月17日、朝日新聞社

富士通も2017年11月、PC事業をレノボ・グループに売却すると発表。

「FMV」のブランドは残し、従業員も維持しました。 

富士通のPC事業売却について報じる2017年11月3日付朝日新聞朝刊(東京本社版)

PCは低価格化が進み、家庭に普及しましたが、スマホやタブレット端末の登場もあり、取って代わられつつありました。

ただ、ここ最近は少し違う傾向が出てきているようです。 

2021年1月の朝日新聞記事では、「新型コロナウイルスの感染拡大によって在宅勤務や『巣ごもり』と呼ばれる暮らし方が広がり、パソコン(PC)の売れ行きが伸びている」と伝えています。 

特に、小さくて軽く、持ち運びしやすいノートPCが人気だといいます。

 

技術の進歩とともに変化を遂げてきたパソコンですが、これからどう進化していくのか。

これからも注目していきたいですね。 

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年6月20日に公開した記事を転載しました)