目次

  1. トランプ関税とは
  2. 日本に直接影響するトランプ関税一覧
  3. トランプ関税、日本の輸出品目へのおもな影響
  4. 国内企業への関税の影響と経産省の対応

 米ホワイトハウスの公式サイトによると、トランプ大統領は1月20日、大統領覚書「米国第一の貿易政策」を発表しました。

 貿易政策を国家安全保障の重要な要素として扱い、主要な安全保障ニーズを満たすために他国への依存を減らすと表明。連邦政府の各部署に対し、「貿易赤字の影響とリスク調査と不公正で不均衡な取引への対処」を指示しました。ただし、これに対し、世界各国が様々な疑義を表明しています。

 それでもトランプ大統領は、品目別や国別に様々な関税措置を次々と打ち出しています。

 トランプ関税のうち、国内産業に直接影響する部分としては、以下の3つが挙げられます。

  • 鉄鋼・アルミ及び派生品(3月12日から25%の追加関税)
  • 自動車及び自動車部品(4月3日から25%の追加関税)
  • 相互関税(24%の追加関税だが4/10より90日間は一部停止)

 経産省の資料によると、2024年時点の米国の日本からの主要な輸入品目(HSコード4桁ベース)とその輸入額、割合は以下の通りです。

HSコード 品目名 輸入額(億ドル) 割合(%)
8703 乗用車その他自動車 408 27
8708 自動車部品 74 5
8429 建機(ブルドーザー、アングルドーザー、地ならし機、スクレーパー、メカニカルショベル) 53 4
3002 医療品(血液等の免疫産品、ワクチン、毒素、細胞培養物等) 53 4
8486 半導体製造装置 39 3
8443 印刷機並びに部分品及び附属品 32 2
8507 蓄電池 30 2
8411 ターボジェット、ターボプロペラその他のガスタービン 22 1
9018 医療用機器 21 1
3824 化学工業において生産される化学品及び調製品 20 1
3004 医薬品 19 1
8807 航空機部品 18 1
8409 エンジン部品 16 1
4011 ゴム製の空気タイヤ(新品) 15 1
8504 変圧器、整流器、インダクタ 15 1

 これらの品目のうち、特に自動車・自動車部品は、25%の追加関税の対象となっており、日本経済への影響が懸念されます。一方で、医薬品(74億ドル)や半導体(17億ドル)などは、4月9日時点では大部分が関税措置の対象外となっています。

 米国の関税措置に対し、経産省は全国約1000カ所に相談窓口を設置しています。2025年4月9日時点で、JETRO(日本貿易振興機構)を中心に計1153件の問い合わせがあり、そのうちの954件は関税措置の詳細に関する問い合わせでした。

 具体的には、以下のような相談が多くありました。

「自社の製品に何%の関税が適用されるのか(569件)」
「自社の製品が関税措置の対象になるのか(456件)」
「原産地の判断方法(47件)」
「関税率の適用は従量基準か従価基準か(15件)」など

 業種別で言うと、輸送用機械器具製造業(98件)、商社・貿易業(93件)、電気・電子機械器具製造業(80件)、小売業(53件)、精密機械器具製造業(39件)、卸業(36件)など、幅広い業種からの相談があるといいます。

 調査のなかでは、化学・業務用機械メーカーから「米国向けの輸出について、足下ではアジア向けに切り替えることも含めて検討している」という声が出ていたり、自動車メーカーからは「リスクに強くなるためにも、中長期的には自動車以外の分野への進出など経営の高度化が重要であり、設備投資など前向きな取り組みを応援してもらいたい」という声が出たりしているといいます。

 一方で、発注が減少した場合の資金繰りや雇用維持に対する不安の声も出ているといいます。