15年前の2007年11月22日、アジアでは初となる「東京版ミシュランガイド」が発売されました。

 

2007年11月20日付の朝日新聞では、最高ランクを意味する「3つ星」に東京都内の計8店舗が選出されたことが報じられています。また、選出された150店舗の約6割をふぐやそば、天ぷらといった日本料理が占めていたそうです。

ミシュラン東京版で3つ星店に選ばれた店主やシェフら=2007年11月19日、東京都千代田区、朝日新聞社

ガイドの総責任者であるジャンリュック・ナレさんも「日本料理は、深く文化に溶け込んだ尊敬すべきもの」とコメントしており、日本食が高く評価されていることがうかがえます。東京版ミシュランガイドは発売前からすでに話題を呼んでおり、初日だけ9万部以上を売り上げたようです。

また、オリジナルの「マイ・ミシュランガイド」を作ることができる豪華版のミシュランガイドも好評を博していたそうです。グルメな人々から人気だったことに加え、贈り物としても活躍しました。

2007年11月20日付の朝日新聞朝刊(東京本社発行)

その後、2010年代に入ると、クチコミサイトでグルメ情報を得ることがすっかり浸透しました。2012年1月27日付の朝日新聞は、大手クチコミサイト「食べログ」を利用し、店の評価を不正に操作する業者の存在を報じました。プロによって厳格に評価されたガイドブックから、ネットで気軽に飲食店の評価を得られるクチコミサイトに人気が集まっていく流れのなかで起きた事件でした。

 

そんな中、2015年12月には、東京都豊島区にあるラーメン屋「蔦」が1つ星を獲得した、というニュースが報じられました。当時、世界の各都市で出されているミシュランガイドで、ラーメン屋が星を獲得したのは世界でも初めてだったそうです。蔦の代表は「ラーメンが世界に認められてうれしい」とコメントしています。

2015年版「ミシュランガイド東京版」内の、5000円内の予算で上質な料理を提供するお店を評価した格付け「ビブグルマン」に和食が加わったこともあり、より幅広い食文化が評価を受けるようになったようです。

「ミシュランガイド東京 2009」を発表するガイドの総責任者のジャンリュック・ナレ氏(中央)=2008年11月18日、東京都渋谷区、朝日新聞社

さらに、2020年12月29日付の朝日新聞によると、2021年版の「ミシュランガイド東京」から、評価基準として新たに「グリーンスター」が加わったことが分かりました。

新たに追加された評価軸、「グリーンスター」とは何なのでしょうか。

これは年々漁獲量が減少しつつある現代だからこそ「食の持続可能性」に貢献したお店を評価するというものです。グリーンスターという評価を設けることで、地球の環境を守っていこうという狙いがあるそうです。

 

また、2021年1月には、コロナ禍で営業が難しい飲食店が多い状況でありながら、フランスでミシュランガイドが発売されることが報じられました。苦境に立たされる飲食店が多い昨今、グルメ界の権威ともいえる「ミシュランガイド」の取り組みが食文化を守っていくのかもしれません。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年11月22日に公開した記事を転載しました)