アルバイトの人がクレジットカード申込時に注意すべき3つのこと
かつて“キャッシュレス後進国”と言われた日本。近年はクレジットカードや電子マネーの利用が進み、「どのカードがお得?」「ポイント還元率は?」といった会話も日常の風景になりました。業界を30年以上取材してきた岩田昭男さんが、“キャッシュレス狂騒曲”を冷静に見つめ、利点や問題点を分析します。
かつて“キャッシュレス後進国”と言われた日本。近年はクレジットカードや電子マネーの利用が進み、「どのカードがお得?」「ポイント還元率は?」といった会話も日常の風景になりました。業界を30年以上取材してきた岩田昭男さんが、“キャッシュレス狂騒曲”を冷静に見つめ、利点や問題点を分析します。
長くアルバイト生活をしていると、クレジットカードをなかなか持てないことがあります。
同年代の正社員らに比べ、審査で落ちやすいのです。
アルバイトがクレジットカードを持ちづらいのは、なぜでしょうか。
3つの理由が考えられます。
1つ目は、収入が少ないからです。
基本的に時給労働で、正社員と違ってボーナスが出ることもほとんどありません。
カード会社から見ると、収入が少ない人は返済が滞る恐れがあるため、審査は厳しくなります。
クレジットカードを申し込むと、指定信用情報機関の「シー・アイ・シー(CIC)」が申込者のローンやクレジットの契約内容、返済状況といった信用情報をチェックします。
延滞の記録があったり、多くの借金があったりすると、なかなか審査は通りません。
カード会社が最も恐れるのは、借金を踏み倒されることだからです。
2つ目は、収入が安定していないからです。
アルバイトは正社員に比べると退職リスクが高く、無収入になる恐れがあります。
このコロナ禍では、アルバイトを含めた非正規労働者が仕事を失ったり、公的支援が届かなかったりして、立場の弱さと収入の不安定さが浮き彫りになりました。
ただ、アルバイトでも勤続1年を過ぎると安定収入があると見られ、カード会社の審査に通る確率が高まります。
3つ目は、アルバイトは「成人していると不利になる」からです。
未成年の学生アルバイトは、審査対象が本人ではなく保護者です。
このため、親の収入に問題がなければクレジットカードは簡単に作れます。
一方、成人したアルバイトの場合、たとえ学生であっても、審査対象は本人です。
収入面で不利なため、審査落ちすることが増えます。
このように、かなり厳しい状況です。
しかし、アルバイトがクレジットカードを一切持てないわけではありません。
申し込みの仕方次第で、審査に通ることもあります。
また、選ぶカードを間違えないことも重要です。
以下に詳しく述べます。
アルバイトの人がクレジットカードを申し込む際、注意すべきことを3つ挙げます。
1つ目は、1度に複数のカードに申し込まないことです。
同時に複数のクレジットカードに申し込むことを「多重申し込み」と言います。
これをやると、カード会社は「お金に困っているのではないか」「入会キャンペーンの特典が目的ではないか」「詐欺師ではないか」などと考えます。
申し込み状況はカード会社間で共有されているため、多重申し込みはすぐに業界内に知れ渡ります。
申し込みは1枚に絞った方が賢明です。
ちなみに、入会キャンペーンの特典目当ての人を「チェリーピッカー」と呼びます。
サクランボが実った時だけやって来て、ついばんで逃げるずる賢い人のことです。
2つ目は、キャッシング枠に金額を書かないことです。
クレジットカードを申し込む際、お金を借りるためのキャッシング枠という項目があります。
ここに10万円とか50万円とか金額を入れると、お金に困っていると思われ、審査に落ちる可能性があります。
これを避けるため、キャッシング枠は0円で申し込みましょう。
3つ目は、在籍確認を無視しないことです。
本人が申告した勤務先で本当に働いているか確かめることを在籍確認と呼びます。
ある日、職場に突然電話がかかってくることがあります。
電話に出れば問題ないのですが、出ないと申告内容を疑われて不利になります。
カードを申し込んで1〜2週間は、いつ電話が来ても出られるようにしましょう。
以上、申込時の注意点を3つ挙げました。
いずれも基本的なことですが、カード会社の考えを知って対応することが大切です。
ただし、最近は働き方が多様化しています。
カード会社側も、アルバイトを含む多くの非正規労働者にクレジットカードを使ってもらおうとしています。
このため、申し込み方法に気をつけ、選ぶカードを間違えなければ、アルバイトでもクレジットカードを持つことは十分可能です。
最後はカード選びについて述べます。
クレジットカードの審査は一様ではありません。
カード会社には暗黙の「格」があり、それに応じて難易度が異なります。
例えば銀行系のほか、ゴールド・プラチナなど高級カードを専門に発行するカード会社は「格」が高くて入会が難しいと言われています。
一方、コンビニやスーパーなど流通系のクレジットカードは審査が通りやすいと言われます。
このため、アルバイトや主婦・主夫の方にお勧めです。
流通系カードの具体例を挙げます。
イオンカードセレクト、ファミマTカード、エポスカード、セブンカードプラス、ローソンPontaプラス、ライフカード、楽天カード、といったところでしょうか。
これらはほとんど年会費無料で、還元率も高いので、日々の買い物で不自由しません。
それでも審査に落ちるようなら、より入りやすい消費者金融系のクレジットカードを選ぶという手もあります。
(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年9月29日に公開した記事を転載しました)
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