内閣府が6月8日、今年5月分の「景気ウォッチャー調査」の結果を発表しました。景気ウォッチャー調査とは、働く人に「景気の実感」をたずねたもので、街の人の「景気の実感を示す指数」として表されています。この指数を地域ごとに見てみると、どんな傾向が見えてくるのか。ここ1年間の指数を、グラフにしてみました。

景気ウォッチャー調査は、3カ月前と比較しての「景気の実感」をたずねたものです。

内閣府が8日に公表した調査結果によると、景気の現況をたずねた5月の指数は全国で38.1となり(季節調整値)、前月を1.0ポイント下回り、2カ月連続の低下となりました。

この調査結果について、内閣府は「景気は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しさが残る中で、持ち直しに弱さがみられる」とまとめています。

では、地域ごとに見てみると、どんな傾向が見えてくるのでしょうか。

2020年5月~2021年5月の調査結果を、地域ごと(北海道、東北、北関東、南関東、東京都 、甲信越、東海、北陸、近畿、中国、四国、九州、沖縄)にグラフにしてみました。


大きな傾向としてはどの地域もほとんど変わらず、緊急事態宣言の影響を受けていることがわかります。1回目の緊急事態宣言が出されていた2020年5月はどの地域もこの1年間で最も低く、6月~10月にかけて改善傾向にあります。しかし、2回目の緊急事態宣言が出された1月にも再び大きな落ち込みが見られます。そして、3回目の緊急事態宣言が出された4月の傾向を見ると、宣言の対象となった東京や近畿などで大きく下がっています。

このなかで、特徴的な傾向がみられるのが、沖縄です。沖縄では昨年7月から、新型コロナウイルスの感染者が増加。8月に県独自の緊急事態宣言を発表し、外出や県をまたぐ往来の自粛を県民に求めました。例年であれば、夏休みの8月は多くの観光客が訪れる沖縄。ほかの地域に比べ、8月は景気の実感の落ち込みが大きくなりました。

新型コロナウイルスの感染者数や、緊急事態宣言の動向に「景気」が左右されてきたこの1年。

みなさんの住む地域はどうでしょうか。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年6月10日に公開した記事を転載しました)