新型コロナウイルスの感染拡大で、私たちの働き方は具体的にどう変化したのでしょうか。リクルートが5月12日に公表した働き方にまつわる調査結果から、テレワークの実施状況の変化がわかりました。

 

リクルートが5月12日に公表したのは、「新型コロナの流行前(2019年12月)」、「1回目の緊急事態宣言下」、「2020年12月」、「2回目の緊急事態宣言下」の4つの時点での働き方にまつわる状況を、同じ人にたずねた「全国就業実態パネル調査2021 臨時追跡調査」です(調査対象は2回目の緊急事態宣言の対象地域の居住者)。

そのなかで、テレワークの実施状況をたずねた調査によると、1回目の緊急事態宣言下でのテレワーク実施率は32.8%と急速に伸びたものの、宣言解除後に18.1%まで減少。2回目の宣言下でも25.4%にとどまっています。

このテレワークの実施状況を、業種別にグラフにしてみました。

(リクルート「全国就業実態パネル調査 2021 臨時追跡調査」をもとに作成)

 

いずれの業種でも、1回目の宣言解除後の2020年12月に減少。2回目の宣言下では増加傾向にあるものの、1回目の宣言下ほどではありません。

情報通信業、不動産業、製造業、金融・保険業はテレワークを継続して実施している割合が比較的高いことがわかります。一方で、飲食店、宿泊業、医療・福祉分野はいずれの時点でも低い水準にあります。

宣言下にテレワークをしなかった理由をたずねた調査では、「職場で認められていないため」が最も高く、1回目の宣言下で56.7%、2回目の宣言下でも56.4%とほとんど変わっていません。職場が要因でテレワークができない状況にあることがわかります。

調査を実施した、リクルートワークス研究所の萩原牧子調査設計・解析センター長は「全体の傾向として、1回目の宣言下ではパソコンや通信機器などのハード面が整ってテレワークが進んだものの、オンラインでの仕事の進め方や共同作業のあり方の見直しなどのソフト面が進まなかったため、1回目の宣言解除で『やっぱり出社した方がいい』ということで戻ったのではないか」と分析しています。

 

(リクルート「全国就業実態パネル調査 2021 臨時追跡調査」をもとに作成)

 

1週間あたりのテレワーク時間の平均を業種別にみても、テレワークが進む業種と、進みにくい業種の傾向がわかります。

一方で、萩原氏は「テレワークが進んだ業種と進まない業種で二極化している。ただ、『1週間に40時間以上テレワークをしている』と回答した人はいずれの業種にも一定数おり、どの業種でも広がっていく可能性はある」とみています。

 

(朝日新聞社の経済メディア「bizble」で2021年5月13日に公開した記事を転載しました)