働き方改革推進支援助成金とは 2023年は賃上げ加算を拡充
働き方改革関連法案が中小企業にも適用されるなか、働き方改革推進支援助成金は、労働環境を改善するときに活用できる助成金です。2022年度(令和4年度)は4つのコースがあります。2022年度補正予算案では、企業規模30人以下の事業主が賃上げした場合に「賃上げ加算」をさらに増額する方針が示されました。
働き方改革関連法案が中小企業にも適用されるなか、働き方改革推進支援助成金は、労働環境を改善するときに活用できる助成金です。2022年度(令和4年度)は4つのコースがあります。2022年度補正予算案では、企業規模30人以下の事業主が賃上げした場合に「賃上げ加算」をさらに増額する方針が示されました。
目次
厚生労働省によると、働き方改革推進支援助成金とは、生産性を高めながら労働時間を縮減するなど働き方改革に取り組む中小企業や小規模事業者、事業主団体への助成金です。
年々要件は厳しくなっていますが、活用範囲が幅広いのが特徴です。たとえば、生産性を向上させたいときに新たに機械・設備を導入することや、手書きでミスの多かった始業・終業時刻の記録をICカード式に切り替えること、作業のムダを見つけるために依頼する外部専門家のコンサルティングなどに活用できます。
2022年度(令和4年度)は次の4つのコースが設定されています。
この記事では、このうち、労働時間短縮・年休促進支援コース、勤務間インターバル導入コース、労働時間適正管理推進コースを中心に解説します。
2020年度から、中小企業に、時間外労働の上限規制が適用されています。労働時間短縮・年休促進支援コースは、生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主に向けた助成です。
支給対象となる事業主は、次の3つすべてに該当する必要があります。
さらに、以下の「成果目標」から1つ以上を選択し、すべての事業場で達成を目指す必要があります。
上記の成果目標に加えて、指定する労働者の時間あたりの賃金額を3%以上または、5%以上の賃金引き上げを成果目標に加えることができます。
助成額は、以下1~3の上限額および4の合計額、または対象経費の合計額×補助率3/4のいずれか低い方となります。助成額は最大で490万円です。
詳しくは、厚労省の公式サイトへ。
勤務間インターバルとは、健康保持や過重労働の防止のために勤務終了後、次の勤務までに一定時間以上の休息時間を設けることで、2019年度から、制度の導入が努力義務化されました。
支給対象となる事業主は、次の5つすべてに該当する必要があります。
支給対象となる取り組みは、以下の成果目標の達成を目指す必要があります。さらに、指定する労働者の時間当たりの賃金額を3%以上または、5%以上で賃金引き上げを行うことを成果目標に加えることができます。
新規に所属労働者の半数を超える労働者を対象とする勤務間インターバルを導入すること
対象労働者の範囲を拡大し、所属労働者の半数を超える労働者を対象とすること。
所属労働者の半数を超える労働者を対象として休息時間数を2時間以上延長して、9時間以上とすること。
「成果目標」の達成状況に応じて、助成対象となる取組の実施に要した経費の一部を助成します。助成額は最大で340万円です。 助成額は休息時間数や成果目標によって変わるほか、賃金引き上げの達成時の加算額(引き上げ人数と引き上げ率で変動)もあります。
詳しくは厚労省の公式サイトへ。
2020年度から、賃金台帳等の労務管理書類の保存期間が5年(当面の間は3年)に延長されています。生産性を向上させ、労務・労働時間の適正管理の推進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を助成するものです。
支給対象となる事業主は、すべての対象事業場で、次の5つに該当する中小企業事業主です。
成果目標としては、次の3つすべてを達成する必要があります。
上記の成果目標に加えて、指定する労働者の時間当たりの賃金額を3%以上または、5%以上で賃金引き上げを行うことを成果目標に加えることができます。
助成額は、目標達成時の上限額および賃金引き上げの達成時の加算額の合計額、または対象経費の合計額×補助率3/4のいずれか低い方となります。助成額は最大で340万円です。
詳しくは、厚労省の公式サイトへ。
働き方改革推進支援助成金のうち上記3つのコースの助成対象は幅広いのが特徴です。
※研修には、業務研修も含みます。
※原則としてパソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
2022年度補正予算案では、企業規模30人以下の事業主を対象に賃上げ加算を拡充する方針が示されました。
これまでの賃上げ加算は、賃金を3%以上引き上げた場合、その労働者数に応じて、助成金の上限額をさらに15万円~最大150万円(5%以上の場合は、24万円~最大240万円加算)とするという内容でした。
2022年度補正予算案では、賃金3%以上の引き上げについては助成金の上限額をさらにに30万円~最大300万円(5%以上の場合は、48万円~最大480万円加算)とすることが示されました。具体的には次の通りです。
賃上げ人数 | 3%引き上げ | 5%引き上げ |
---|---|---|
1~3人 | 15万円⇒30万円 | 24万円⇒48万円 |
4~6人 | 30万円⇒60万円 | 48万円⇒96万円 |
7~10人 | 50万円⇒100万円 | 80万円⇒160万円 |
11~30人 | 1人あたり5万円(上限150万円)⇒1人あたり10万円(上限300万円) | 1人あたり8万円(上限240万円)⇒1人あたり16万円(上限480万円) |
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