目次

  1. 中小企業向けDM、親族内承継は「経営経験に乏しい」と記載
  2. ストライク「十分な根拠があったとは言えない」
  3. ストライク、比較表の発送を停止
  4. 日本M&Aセンターでも過去に同様の比較表

 ある中小企業が受け取ったのは、ストライクから送られてきたM&Aの案内で、そのなかに「事業承継の選択肢」として比較表が載っていました。

 比較表は、M&Aをした場合の企業の発展性は「◎」と評価する一方で、親族内承継の場合は「△~○」と書いていました。M&Aのメリットに「優秀な後継者を選択可能」と説明していますが、親族内承継には「経営経験に乏しい」といったデメリットが記載されていました。

 政府の中小企業白書でも、親族内承継よりもM&Aの方が発展性があるという根拠は書かれていません。親族内承継は「経営経験に乏しい」と一般化して記載するだけの根拠も見当たりません。そこで、ストライクに対し、DMの根拠について取材しました。

 ツギノジダイ編集部の取材に対し、ストライク広報部は次のようにコメントしています。

中小企業白書2021年版第2節 コラム2-3-4:M&A実施有無別のパフォーマンス比較」にあります通り、M&Aを実施した企業が実施しない企業に比べ成長率が高い事。また、大手企業がM&Aを通じて急速な成長を図っている事例があることから、M&Aの欄に「◎」の記載をしております。

当社には親族内承継を否定する意図はなく、親族内承継の発展性を△~〇という低い評価にしたことについて、十分な根拠があったとは言えないと考えております。

2015年のM&A実施有無別に、売上高成長率について表した図。中小企業白書2021年版から引用(https://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/2021/chusho/b2_3_2.html)

 親族内承継のデメリットとして「経営経験に乏しい」と書かれた理由についても確認したところ、次のような回答がありました。

経営経験につきましては、M&Aにより外部の経営人材が加わることで大きな成長を得る事例があることから、記載させていただきました。ただ、親族内承継の対象者(後継者)の方の経営経験が乏しい、という表記についての根拠は十分ではありませんでした。

 ストライクが親族内承継の発展性は「△~○」と記載したDMの作成履歴を確認したところ、少なくとも2021年春にはすでに利用されていたといいます。

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