目次

  1. 江戸時代から続く伝統製法
  2. 先祖がつないだ鰹本来の味わい
  3. 父の背中から学んだ仕事
  4. 事業を継いで地域活動に注力
  5. 商品の工夫と観光PRを連動
  6. 足元を固めて家業の発展に

 ヤマ加商店は鮮魚店として創業。屋号は初代が「豊かさの象徴である山がいくつも加えられるくらい繁盛するように」との思いを込めて付け、鰹の加工も創業時から手がけていました。

 奥村さんの父の代のとき、地元の古和浦漁港の水揚げが少なくなってから鮮魚の扱いをやめ、鰹節製造のみにシフト。現在は家族4人で、鰹生節、花かつお、くんせいなどを年間10トン以上製造しています。販路は地元スーパーが60%、直売20%、卸売り15%のほか、2021年からオンラインショップも運営しています。

手火山式焙乾製法でつくられる鰹の生節。販売価格は800円からでサイズによって異なります。花かつおは500円、鰹くんせいは600円です

 一般的に鰹節は生節、荒節、枯節に分けられるといいます。生節は一度いぶしたソフトなもの、荒節は何度もくんせいして固い状態にしたもの、枯節は荒節にさらにカビをつける工程を経たものです。

 ヤマ加商店で扱うのは鰹生節や花かつおのベースとなる荒節で、江戸時代から続く手火山式焙乾製法(てびやましきばいかんせいほう)で作っています。薪を燃やし、炎の上方にゆでた鰹を並べた木製のせいろをかけて、熱と煙でいぶす伝統製法です。職人が鰹に手でふれながら火加減を確かめ、均一に熱が伝わるように位置を変えたり、積みかえたり、休ませたり。これを水分がなくなるまで繰り返します。

 奥村さんは「節に含まれる油分、水分、季節によって適度な火力、煙の量、時間を加減しながらの大変な作業で、長年の経験と勘がものをいいます。今風に言うと非常にコスパの悪い作り方です。時間も手間もかかるし、せいろの上に乗せられる量も限られるので大量生産もできません」と言います。

 大型のくんせい機を使った製造が主流の今、全国的にも珍しい製法といいます。

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