提案力とは?高めるメリットと身につけ方、交渉術を網羅的に解説
「提案力が弱い」と感じている人は、多いのではないでしょうか。一方、提案力が優れている人は、相手と良い関係を構築し、次々に提案が採用されていきます。この記事では提案の採用率を上げるために、提案力を高めるメリットや鍛え方、交渉術をわかりやすくご紹介します。
「提案力が弱い」と感じている人は、多いのではないでしょうか。一方、提案力が優れている人は、相手と良い関係を構築し、次々に提案が採用されていきます。この記事では提案の採用率を上げるために、提案力を高めるメリットや鍛え方、交渉術をわかりやすくご紹介します。
目次
提案力は、取引先や社内のメンバーとの信頼関係を構築し、課題を解決するために必要なスキルです。また、提案力と似たスキルとして、「企画力」や「営業力」が挙げられます。提案力がどういったスキルか、企画力や営業力との違いを解説していきましょう。
提案力とは、相手の悩みや課題を解決につなげるプロセスを提供する力です。
商品やサービスなどの良さを伝えるだけではなく、「自分ならどうするだろうか?」と、相手の立場に立って、悩みや課題を深く理解することが求められます。
一方、提案力が弱い人は相手のニーズを正しく読み取れないため、アイデアや改善策を見つけられず、機会損失や誤った解決策を提案する可能性があります。
高い提案力を発揮するには、「企画力」と「営業力」と呼ばれるスキルを兼ね備えておく必要があります。提案力とこれらのスキルの違いについてご紹介します。
言葉の定義 | 必要なスキル | 活用シーンと効果 | |
---|---|---|---|
企画力 | 新しいアイデアを発想し、実行可能な状態に導く力 | ・課題発見能力 ・発想力 ・課題解決力 ・ひらめき ・するどさ |
新たな発想を生み、素晴らしいアイデアを世の中に送り込める |
営業力 | 顧客との良好な関係を構築し、商品やサービスをを売り込む力 | ・商品知識 ・課題分析力 ・行動力 ・コミュニケーション能力 ・明るさ ・人間力 |
・顧客が喜ぶ商品やサービスを購入してもらう ・強過ぎると嫌がられる |
提案力 | 相手の立場に立って、悩みや課題を深く理解し、解決につなげるプロセスを提供する力 | ・企画力に必要なスキルの全て ・営業力に必要なスキルの全て ・共感力 |
・課題発見から解決のためのプロセスを企画し、提案する ・顧客との強い信頼関係を得られる |
人によって提案力や企画力、営業力の優劣が異なる場合がありますが、優劣が重要なのではなく、それぞれのスキルを理解し、活用することが重要です。
企画力は新しいアイデアを発想し、実現可能な具体案をまとめる力で、相手への提案は含まれていません。優れた企画力がなければ、優れた提案力は発揮できないため、提案力を支える基礎的な能力といえます。
営業力は、モノやサービスを売り込むスキルと言い換えられます。そのため、営業力だけが強過ぎる場合、「押しに負けて買ってしまった」「必要ない物まで買ってしまった」など、相手の納得を十分に得ていない可能性もあります。
提案力は、相手が納得していることが重要です。相手へ提案する際は、高い営業能力も必須なため、営業力も提案力には欠かせない基本スキルです。
提案力が高く、次々に提案が採用される人は魅力があり、多くの人が次のスキルを身につけています。
提案力は、相手の課題を読み取ることから始まります。そのためには、聴く力と相手に話してもらう力が必要です。「ファシリテーション力」とも言われますが、ここで具体的に必要なスキルは次の3つです。
なにごとも準備から入ることが大切です。相手に対する仮説を準備し、主張に耳を傾けて、話をさえぎらずに聞き取ります。
課題が隠れている場合、相手の主張がぼんやりしてわかりにくいことが多くあります。その場合は、さまざまな角度から質問を投げかけて、相手が伝えたいことを正確に理解することが重要です。
提案力が高い人は、多く集めた情報が課題解決に必要かどうか、整理する力を身につけています。
多くの情報を集めるために、相手の主張を聞き取りながら質問を繰り返すことで得た周辺情報は、本質に関係ない情報も含んでいます。そこで、集めた情報が必要かどうか、情報を整理する力が必要です。
情報を整理することは、課題の本質を捉えるために欠かせないスキルであり、丁寧に行うことで、相手自身が気づいていない課題を明らかにできます。
課題解決に必要な情報を集めたら、解決策を論理的に説明し、納得させるプレゼン力が必要です。
筆者が中小企業のコンサルティングを行ってきた経験から、多くの場合、課題を明確にした時点で解決策は見つかっています。
ヒアリングをすることで、認識できていない課題や言語化できていないことが明確になります。明確になった部分が課題の原因であり、原因に対して対策を考えることは、難しくありません。
重要なのは解決策を相手に納得してもらうことであり、そのためには話を論理的に組み立て、説得力のあるプレゼンをできるスキルが提案力に必要といえます。
提案力が高い人は、相手の深層心理まで入り込み、見つけ出した悩みの解決策を論理的に提案できます。そこで、提案力を高めたことで得られる具体的なメリットを3つご紹介します。
自分で気づけなかった課題を、対話のなかで見つけられたということは、相手はあなたに対して厚い信頼感があるといえます。
ここで、忘れてはいけないことが、あなたも相手に対する誠実な信頼感とリスペクトを持っておく必要があるということです。
ある企業のコンサルティングで、とても良い課題解決策を提示できたとき、顧客から以前の担当者は話にならなかったと苦言を述べられたことがありました。
その担当者の残したメモを確認すると、事業の可能性に対する疑念が記されており、信頼関係を構築できていなかったことがわかりました。お互いの信頼が生まれない場面では本音の話ができず、解決策の提示もできないと実感した例になります。
お互いを信頼したうえで明確化した課題の解決策は、スムーズに受け入れられます。
提案は思いつきのアイデアではなく、相手の強みや弱み、置かれた環境を一緒に考え、問題となっている課題を解決することがもとになっています。そのため、あなたから相手への一方向の提案ではなく、双方が一体となって考えられた提案だからこそ、相手も受け入れてくれるのです。
提案を受け入れてもらえたことで、すでに相手との信頼関係が構築できており、次の機会もお願いしたいというリピートオーダーの前提条件ができている状態になります。
2回目以降の依頼を見込めるため、今後の売上や評価UPなどの期待ができます。さらに、課題を解決し続けることで、相手の業績などを良い状況にすることが可能です。
信頼関係を構築できるなど、ビジネスにおいて強力な武器である提案力を身に付ける方法は次のとおりです。
順にご紹介します。
提案力が高い人の特徴である、傾聴力を磨くために、相手の話を最後まで聞くという姿勢を日頃から心がけましょう。
また、あいづちをうちながら、「えぇ⁉」という反応や「すごいですね!」などの称える言葉を伝えてみます。これらは、相手の話を聞いているというサインになり、相手はより話したい気持ちが湧いてきます。
リアクションが難しい人は、相手の発言を復唱するだけでも良いです。さらに、相手の発言を要約すれば、お互いの理解の確認になり、深い話を聞き出せるようになります。
相手から多くの話しを聞き出すためには、質問力が重要です。質問にYESとNOで答えられる「Closed Question」と、自由に答えてもらう「Open Question」を組み合わせて、相手の発言を深堀りできるようになりましょう。
例えば、「提案力はありますか?」というClosed Questionの回答は、「あります」か「ありません」のどちらかになります。
「ある」場合には「どのようなときに提案力を有効に使えていますか?」、「ない」場合には「提案力があったら、どのような点で有利だと思いますか?」などのOpen Questionを重ねて質問することで、相手の情報を掘り下げることが可能になります。
相手の発言を整理すると、自分の頭の中も整理されるため、フレームワークを用いて、相手の発言が重要かどうか整理できるようになりましょう。
おすすめのフレームワークは、「ロジックツリー」や「フローチャート」「ポジショニングマップ」「PPM(Product Portpholio Management)」などです。これらを活用しながら、相手が伝えたいことを正しく理解できるように心掛けましょう。
提案を相手にわかりやすく伝えるために、プレゼン力を磨きましょう。
相手に解決策を提案する際は、「相手が納得する」ことを前提に構成や資料を作成し、自分の言葉で伝えます。また、相手に納得してもらうには、論理的でわかりやすい言葉で語りかけることが重要です。
プレゼン力の磨き方については、こちらでもご紹介しております。
身についた提案力をどのように活かせるのか、3つのシーンをご紹介します。
提案力は、営業交渉の場で効果を発揮します。自社の商品やサービスなどを営業する際に活かせるスキルであり、適切な解決策を提案することで、顧客に喜んでもらえます。
提案力は、所属する組織のなかでも活用できます。
例えば、組織を活性化させる方法やメンバーが働きやすい環境を作るために必要なことを提案したいときなどに有効なスキルです。
組織は会社組織だけでなく、お住まいの地域や家族に対しても効果を発揮します。
相談や協議の場では、提案力を活用して課題の可視化から解決策の提案まで行えます。企業の経営者や従業員、フリーランスなど、活躍している人であっても、自分では気づいていない課題が成長を阻害する要因になっています。
提案力は課題を可視化し、さらに納得のいく解決策を提案できるため、相談を受けるときや協議に参加する際には、ぜひ活用しましょう。
提案力とは、相手との信頼関係を構築し、あなたと相手を取り巻く環境に良い影響を与えるスキルです。
良い提案をするには、傾聴により引き出した本音に対する仮説を検証し、課題を明確にする必要があります。また、的確な解決策を提案するには、自分が持っている知識や情報収集能力を高め、結集することが重要です。
また、相手に寄り添って課題解決のプロセスを提供するためには、信頼関係を築く「人間力」や相手の立場を理解する「共感力」も求められます。
相手との信頼関係を構築し、提案の採用率を上げるためにも、日ごろから提案力を高めることを心掛けましょう。
おすすめのニュース、取材余話、イベントの優先案内など「ツギノジダイ」を一層お楽しみいただける情報を定期的に配信しています。メルマガを購読したい方は、会員登録をお願いいたします。
朝日インタラクティブが運営する「ツギノジダイ」は、中小企業の経営者や後継者、後を継ごうか迷っている人たちに寄り添うメディアです。さまざまな事業承継の選択肢や必要な基礎知識を紹介します。
さらに会社を継いだ経営者のインタビューや売り上げアップ、経営改革に役立つ事例など、次の時代を勝ち抜くヒントをお届けします。企業が今ある理由は、顧客に選ばれて続けてきたからです。刻々と変化する経営環境に柔軟に対応し、それぞれの強みを生かせば、さらに成長できます。
ツギノジダイは後継者不足という社会課題の解決に向けて、みなさまと一緒に考えていきます。