目次

  1. 白木にこだわる理由
  2. 自分たちでお客様の手に届けたい
  3. 現代の生活に合う製品を
  4. 地元にオープンした交流の場
  5. 海外の方にも直接、手に取ってもらいたい
  6. 大館の活性化に向けて

 大館曲げわっぱの歴史は古く、2000年も遡ると言われています。天然の秋田杉を使って木こりが曲げ物の器を作ったのが始まりで、江戸時代には武士の内職として栄えました。まっすぐな木の板を湯で煮て柔らかくし、丸太に沿わせて曲げていく「曲げ加工」が特徴です。美しい曲線に丸めて、きれいな弁当箱を組み上げるには高い技術が必要で、国の伝統的工芸品にも指定されています。

 丸いやさしい形や美しい木目、杉のすがすがしい香り、手に持ったときの軽さなどが特徴で、近年、若い人たちの間でも人気が高まっています。特に弁当箱は人気があり、インスタグラムなどには、わっぱ弁当の写真があふれています。

曲げわっぱを使った色とりどりの弁当

 曲げわっぱには食材を美味しそうに見せるだけでなく、美味しく保つ効果もあります。炊き立てのご飯を「おひつ」に入れると余分な水分を吸湿して、 中の湿度をうまく調整し、べとつかずパサつかず冷めてもふっくらとしたご飯を食べることができます。

 柴田慶信商店の製品は、塗装を施さない「白木仕上げ」と呼ばれる、木地そのままの仕上げが特徴です。中性洗剤で洗えるウレタン塗装を施した製品も多く出回っていますが、同社は白木仕上げの製品にこだわっています(適材適所を踏まえ、カップ類など飲み物を入れる器には、一部ウレタン塗装を施しています)。

 「先代である父が、ウレタン塗装の弁当箱に詰めた弁当を食べたとき、塗装の臭いで食べることができなかったのです。それから、『ご飯を入れる器は白木でなければ』と、こだわって製作しています」

ご飯を美味しく保つ「おひつ」

 「白木の製品は香りがいいだけでなく、ご飯の水分を程よく吸収してべちゃっとならず、時間がたっても美味しいんです。また、杉には抗菌作用があって、ご飯が傷みにくいんです。ウレタン塗装のものでは、こうはいきません」

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