目次

  1. 物流の2024年問題とは
  2. 物流効率化に向けた先進的な実証事業とは
    1. 荷主企業における物流効率化に向けた先進的な実証事業
    2. 自動配送ロボット導入促進実証事業

 国交省の資料によると、物流の2024年問題とは、働き方改革関連法によって、2024年4月からトラック運転手の時間外労働に上限規制が適用されることで、物流の停滞やコスト増加が懸念される問題です。

 物流の2024年問題の根本的な原因は、トラック運転手の労働環境です。国交省は「トラック運転手を年間労働時間は約2割長く、年間所得額は約1割低く、有効求人倍率は約2倍」と指摘し、ほかの産業と比べると、長時間労働、低賃金で人が集まりにくい状況であると指摘しています。

 全日本トラック協会の2023年1~2月のアンケートでは、約29%(長距離輸送では約39%)が「2024年4月から規制対象なる時間外労働年960時間超となるドライバーがいる」と回答しています。

 長時間労働になっている原因として、長時間の運転時間だけでなく、荷待ち時間、荷役作業も重い負担となっています。

自動車運送事業における時間外労働規制の見直し(国交省の資料から https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001620626.pdf)

 こうした状況を改善しようと、2024年4月からトラック運転手の時間外労働に上限規制が適用されます。長距離輸送について、これまでと同じ運行方法では、改善基準告示違反となる場合があります。

 たとえば、東京-大阪間は1日1人で運送できなくなる可能性があり、長距離運送の運転手確保が難しくなったり、コスト増となったりする可能性があります。

労働時間規制等による物流への影響(国交省の公式サイトから https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001620626.pdf)

 物流の2024年問題に対処しなかった場合、2024年度には輸送能力が約14%(4億トン相当)不足する可能性があるとして、政府は「物流革新に向けた政策パッケージ」で①商慣行の見直し、②物流の効率化、③荷主・消費者の行動変容について取り組む方針を明らかにしました。

 こうしたなか、経済産業省は「物流効率化に向けた先進的な実証事業」を実施するため、2023年度補正予算案に55億円を盛り込みました。即効性のある設備投資の促進を加速化させ、物流の2024年問題や構造的な需給ひっ迫による輸送力不足の解消に役立てる狙いがあります。

 実証事業は大きく分けて2つ予定しています。

 荷主企業の物流施設の自動化・機械化に資する機器・システムの導入等に係る費用を補助することを通じて、荷主企業の省力化や物流効率化の投資効果を明らかにする実証に取り組みます。

 補助率は中堅企業で1/2、中小企業で2/3を想定しています。

公道を走行する自動配送ロボットの採算性を確保したサービスモデルを創出し、市場の確立を図るため、複数拠点・多数台運行による大規模なサービス実証に取り組みます。

 補助率は、大企業と中堅企業で1/3、中小企業で2/3を想定しています。